埋却地の農地復旧開始 県、3年で完了目指す
川南を先行実施
宮崎日日新聞 2013年5月8日付転載(改行等加えた)
2010年の口蹄疫の家畜埋却地を農地として再び利用するための件の再生整備が7日、川南町で始まった。県内12市町の268カ所(97.5ヘクタール)の埋却地のうち、農地所有者らが再利用を希望する237カ所(84ヘクタール)を15年までの3年間で復旧させる見通し。
発掘禁止期間が順次終了していく中、復興への大きな一歩を踏み出した形で、本年度は50ヘクタールを整備予定。梅雨明けの7月ごろから本格的な工事が各地で始まる。
口蹄疫で殺処分された29万7808頭の牛や豚などの埋却地は4月21日から家畜伝染病予防法に基づく3年間の発掘禁止期間が順次終了し、再利用が可能となる。
県が昨年10月に行った意向調査では9割に当たる237カ所の農地所有者らが、飼料作物や露地野菜の畑として再利用を希望している。
しかし、埋却地の多くは緊急的な埋却作業によって地表に大きな石が露出していたり、地面が陥没していたりと、再び農地として使うためには整備が必要な状態。このため、県予算と国の家畜伝染病予防費負担金で総額約10億円の事業費を賄い、3年をかけて整備作業を実施する。
再生整備は重機で地表を50センチ~1メートル掘り起し、混ざった土と石を分別。穴に石を戻した上から再び土だけをかぶせて整地するという工法。
ただ、「これまで国内に前例がない規模の整備事業」(県家畜防疫対策課)となるため、掘り起こしてみなければ内部の状況が分からないという。
このため、モデルケースとして川南町の3カ所、約1ヘクタールの工事を先行して実施。8月末の完了を目指し、その後、適切な整備法を検証し今後の整備に生かす。
7日は同町で起工式を実施。県や同町の職員、農地所有者ら約100人が参加した。神事が行われた後、河野知事が「埋却地の再生整備は畜産新生に向けた大きな一歩。土地所有者の意向に沿った、円滑な整備をしていきたい」とあいさつした。
埋却地の再活用へ 整備開始
宮崎県内に大きな被害をもたらした口てい疫から3年がたち、処分した家畜を埋めた土地、埋却地の再活用に向けた工事の起工式が川南町で行われました。
3年前の口てい疫で宮崎県内では牛やブタなどの家畜およそ30万頭が処分され、処分された家畜を埋めた埋却地は県内で268か所、97ヘクタールに及んでいます。
宮崎県は、3年経って法律で定められた埋却地の発掘禁止期間が順次終わり、これらの土地が再活用できるようになるのを前に工事方法などを検証しようと川南町内の3か所で先行して工事を行うことにして7日、起工式を行いました。
式には宮崎県の河野知事や町の関係者、畜産団体の代表者などおよそ110人が出席して工事の安全を祈願しました。
河野知事は「いよいよスタートするが、しっかりと農地としての再生整備に取り組み、本当の意味での口てい疫からの復興に結びつけていきたい」と述べました
。
埋却地の多くはもともと農地として利用されていましたが、地表に石が浮き出しているなど、すぐには活用できないため、県が大きな石を取り除くなどの整地工事をします。
今回、宮崎県が先行して整備する3か所では、家畜のエサや高菜を栽培する計画で、県ではこれらの整備の状況を検証した上で、今後3年をかけて、県全体で埋却地の整備を進めることにしています。
今回、整備される埋却地の1つの所有者で川南町の牛の繁殖農家、西森和弘さん(73)は「この3年間というのは、長かったですし、わびしかったです。1つの区切りというか、これが終わらないと口てい疫の終息にはならないですし、この土地を活用していくことが畜産農家の使命だと思っています」と話していました。
また整備を進める宮崎県畜産新生推進局の中田哲朗局長は「ようやくこの日を迎えたと感慨深いものがあります。スピード感を持って農地としての原状回復に向けた再生整備を進めていきます」と話していました。
05月07日 20時21分 NHK
口蹄疫埋却地の再整備始まる
5月7日 18時09分 MRT
3年前の口蹄疫で家畜を埋却した土地を、農地として再活用するための工事が始まることになり、7日川南町で起工式がありました。ようやく始まる埋却地の再整備ですが、期待の一方、課題も抱えています。
口蹄疫で殺処分された家畜の埋却地は、発掘禁止期間が3年となっていて、先月下旬から、順次、再利用が可能となっています。これを受け、県では今年度から埋却地を計画的に農地として再整備することにしていて、7日は初めて整備する埋却地3か所の工事開始にあたり、起工式がありました。
(河野知事)「農地所有者の皆さんの意向に沿うような再生整備を果たしそしてこの口蹄疫からの再生復興、本当の意味での真の意味での再生復興に結びつくような、この復興を遂げていきたいと考えている」
口蹄疫に伴う埋却地は県内268か所、97.5ヘクタールに上ります。このうち土地の所有者が整備を希望しているのは約9割にあたる237か所、84ヘクタール。
この土地を対象に、県は2015年度までに約10億円をかけて整備することにしています。ようやく始まる埋却地の再整備に川南町の畜産農家の1人は・・・
(川南町の畜産農家・西森和弘さん)「また新しい牛に還元していかないといけない。牧草を作って。これ(埋却地の活用)が終わらないと我々も正式な終息ということは考えられない」
畜産農家の期待も大きい埋却地の再活用ですが、乗り越えなくてはならない問題もあります。
その一つが埋却地に転がる大小さまざまな石。県では、今回、4つの工法をベースに埋却地の状況に応じて整地作業などを行うことにしていますが、埋却地を掘った事例はまだないため、実際に工法が適当なのか、検証が必要です。
また、殺処分された家畜の埋却時にまかれた多くの消石灰が、土地にどういった影響を与えているのかについても調査が必要で、県では、整備事業に合わせて埋却地ごとに土壌検査を行うことにしています。
(県畜産新生推進局・中田哲朗局長)「全国でも初めての工事ということになるのでどういう問題が出てくるのか我々としてもわからないという状態にある。できるだけ早めにスピード感をもって原状回復をして農地として活用できるよう頑張っていきたい」
今後3年間で進められる埋却地の再生活用事業。今年度は約50ヘクタールが整備される予定で、梅雨明け後の7月ごろから本格的な工事が始まります。
口蹄疫埋却地の再整備スタート・起工式
05月07日 18時42分更新 UMK
口蹄疫の埋却地は、3年間、法律で発掘が禁止されてきましたが、先月から順次農地などとして再び活用できるようになりました。
川南町では、再整備にむけ工事の起工式が行われました。
起工式が行われたこの土地には、深さ4メートルのところに口蹄疫のときに殺処分された261頭の牛が埋却されました。
今回の工事では、表面50センチ分について石を取り除いて農地に再整備します。
この土地は、所有者がすでに畜産をやめており、土地を借りた農業生産法人が漬物用の高菜を生産します。
きょうは知事などが出席して起工式が行われました。
河野知事は「本当の意味での口蹄疫からの再生復興が実現する」と話していました。
再整備にかかる費用はおよそ10億円と莫大です。
これを国と県が負担し、3年かけて84ヘクタールの埋却地を整備します。
3年前、多くの人が涙を呑んで優良農地に牛や豚を埋却しました。
地権者代表の西森和弘さんは「ひとつの区切りというか、これが終わらないと我々も終息は考えられない」と話していました。
きょう起工式を終えた川南町の3ヶ所の埋却地の工事費用は総額1554万円で、今月中旬から工事が始まります。
埋却地再生川南で開始 口蹄疫被害農家「大きな区切り」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyazaki/news/20130507-OYT8T01379.htm
2010年の口蹄疫で殺処分された牛や豚の埋却地を再生する工事が7日、川南町の3か所で始まった。起工式に出席した西森和弘さん(73)(川南町川南)は牛の繁殖農家だったが、飼育していた全64頭を殺処分され、自身の畑に埋められた。飼料用の牧草地として再活用する西森さんは「口蹄疫の悲劇を忘れてはいけないが、再生へ踏み出すのは大きな区切りになる」と前向きに思いを語った。
口蹄疫の感染確認後、西森さんの畜舎の牛は牧草を栽培していた約1400平方メートルの農地に埋却された。西森さんは畜産業を11年末までに再開したが、以前は自給自足で賄っていた牧草の一部を輸入に頼るようになった。多額の費用が必要になり、防疫上の不安もぬぐえない状況は今も続いているという。
神事で、神棚に手を合わせゆっくりと目をつぶった西森さん。「埋却した牛を思うと、今でも胸が痛い。でも、農地として再活用し、生み出される牧草を次の牛の育成に活用することが最大の供養です」
口蹄疫で殺処分された牛や豚は県内で約30万頭。12市町、268か所の97・5ヘクタールに埋却された。
再生整備工事の対象となるのは、地権者が農地などとしての再活用を希望した約84ヘクタール。県畜産新生推進局によると、埋却地の多くは優良農地だったが、地権者の1割程は「供養のためにも土地に手を入れたくない」などと工事を拒んだという。
(2013年5月8日 読売新聞)
※メモ・独り言
口蹄疫の際に殺処分された家畜が眠る埋却地は、元々は色々な作物が育てられていた優良な耕作地であった。
(もちろん、中にはそうでない所を急きょ切り開き埋却地として利用した所もある)
家伝法により3年間は掘削禁止になっていた埋却地が、再度耕作地として蘇ろうとしている。
急きょ深く穴を掘らねばならなかったため、土中の大小の石が地表に現れている。
埋却時に大量に投入された消石灰が、土にどんな影響を与えているかも未知数。
埋却地として使われた土地を改良していく事業も、日本では初めての事。
家畜が眠る埋却地を「お墓」として残しておきたい人もいる。
だからこそ、今育てている家畜の為の飼料を作る畑として使いたい人もいる。
耕作地として使うことこそが、口蹄疫からの復興だと考える人もいる。
色んな考えがあって当然だろう。
いずれにしても実際に被害に遭われた方にとって、新しい一歩を踏み出す事業である事を切に願います。
※関連
口蹄疫・埋却地再整備着手
http://koji.air-nifty.com/cozyroom/2013/04/post-1e22.html
口蹄疫・埋却地の今後は?(2012年7月)
http://koji.air-nifty.com/cozyroom/2012/07/2012-eef9.html
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