先月の事なのですが、有志で「肉肉まつり」なるものを開催しました。
やいちゃッ亭のオーナーと「いろんな肉の食べ比べをやったら面白そうだ」という話になり、6月の肉の日イブ(要は28日ね)に決行となった次第です。
あくまでも
肉の優劣を語るのではなく色んな牛肉を味わってみようぜ!
という主旨で、集まってくれたのは12名。
畜産農家やお肉屋さん、役場の職員、飼料屋さん、畜産業に関係のない単なる肉好きなどなどです。
▼竹ノ谷の蔓牛(いぶさな牛)モモ
▼都萬牛(経産肥育)モモ
▼飛騨牛
▼さの萬ドライエイジングビーフ(ホルスサーロイン)
▼シャロレー子牛肉と中勢以熟成肉(神戸牛モモ)
▼土佐あかうし ブロックで炭火焼
もう、タンしゃぶだけで「やられたわ♡」って感じだったのですが、次々出てくるお肉たちの美味しい事って言ったら・・・(思いだすだけで うっとり)
それぞれの肉にそれぞれの美味しさがあって、牛肉の世界って本当に奥深いわ。
さの萬のドライエージングビーフは鼻に抜けるナッツ臭がたまらんし、中勢以の熟成肉はチーズの香りが心地よい。
いぶさな牛は懐かしい肉の匂いだし、都萬牛は経産らしい深みがある。
シャロレーの子牛肉(実は子牛肉を食べたのは初めて)の肌理の細かさに驚かされた。
ホント個性的なお肉をたくさん堪能することができました。
また人それぞれに好きなタイプの肉があるのも面白かったです。
ある人は「糠漬け最高!」と言うのに、ある人は「糠の匂いがダメ」とか(笑)
今回は、しゃぶしゃぶ以外はほぼ塩だけで食べてみたのですが、調理法によってもまた味わいが違うものになるんでしょうね。
次は短角や無角なども食べてみたいと思ったのでありました。
※場所を提供してくださった やいちゃッ亭さま、お肉を用意してくださった関係者の皆様、ご協力ありがとうございました。
忘れもしない「焼肉えびすのユッケ事件」、あれ以降、肉の生食に関して厳しい状況になりました。
ユッケ用として使われていたモモ肉の売り上げが落ち、焼肉屋さんのみならず精肉業者も大変な時期が続きました。
生肉に引き続き、生レバーも食べられなくなりました・・・。
副産物を取り扱う業者さんも大変ですが、肥育農家も内蔵価格の引き下げで打撃を受けました・・・。
(現在は厚労省の生食用牛肉加工基準・調理基準に適合した施設で作られた密封パック入りのユッケは、管轄の保健所に届け出た焼肉屋さんで食べる事が出来ます)
南九州って昔から鶏肉を刺身で食べる食文化がありまして、肉の生食に関しては結構馴染みがある地域なんですよね。
私自身はユッケにはさほど煩悩は無かったわけですが、レバ刺しは好きでしたし、肉の生食の厳正化で食べなれた鳥刺しまでも議論の対象になっているらしいと聞けば、「食肉などの生食に関する調査会」の会議内容は、すごく気になるところです。
「食肉通信」が今回(第2回・3月17日)の調査会の記事を書いてくれましたので要点のみ。
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★今回は「今後の検討の進め方」を決定するために、議論の参考とすべく、各団体からの報告を受けた。報告内容は次の通り
①自治体調査の生食などの提供に関するアンケート結果
②食肉などの生食に関する事業者の取り組み等に関するアンケート結果
(日本食鳥協会・日本副産物協会・全国食肉事業協同組合連合会・日本フードサービス協会)
③東京都におけるカンピロバクター食中毒事件一覧
④東京都におけるカンピロバクターなどを原因とする食中毒発生状況
⑤厚労科学研究の
・内臓肉の衛生管理に関する研究
・熊本県における猪、鹿および豚のE型肝炎ウイルス汚染実態調査と分子疫学解析
・カンピロバクターの制御に関する研究
⑥生食用食鳥肉などの安全に関する自治体の取り組み(宮崎県と鹿児島県)
⑦腸管出血性大腸菌O157散発例のリスク想定および発生状況など
★本格的な議論は次回(第3回)から。検討内容は次の通り
①食肉などの種別ごとのリスクの大きさ、検討の優先順位
②優先順位の高いものから、リスクの大きさに応じた規制手法について
★第3回の議論が終了した時点で乳肉水産食品部会に報告
26年度以降も検討の優先順位にしたがい、食肉などの種別ごとに規制手法のあり方について引き続き検討する
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また記事には次のような事も書かれていた
★副産物協会などから出た意見
(食の選択の自由を背景としている。牛生レバー生食禁止への疑問も)
・資料を見れば生食が危ない事は確認されたが、それでも牛レバーの生食については、消費者の食べたいという声にどのように折り合うか
・管理する側の意見ばかりではなく、食べる消費者の意見もきいて議論してほしい
・食中毒を出せば業者は営業停止になるので、あらゆるデータ、客観的な資料を示してほしい。議論して、その結果としてゼロリスクを求めるのか?
★公益衛生や医師、研究者の代表の意見
・屠畜時の肝臓圧迫で肝臓汚染は明らか。事実として、子供が食べると重篤となり、熱を加えて食べるべき。食文化ではなく、心の問題とすべきだ。
・リスクに応じた規制には整合性がある、現状での生食禁止を支持
また、牛レバーに関しては
★生食が安全であると担保できる地検が研究された時点で、再度調査会で生食について検討を加えると確認
ということです。以上
※関連
牛肉ユッケが復活の兆し(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/130217/wec13021719090003-n1.htm
エスフーズの国産牛ユッケ
http://www.sfoods.co.jp/top/yukke.pdf
※厚労省
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会資料(平成26年3月17日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000040554.html
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会資料(平成25年12月26日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000033719.html
生食調査会が改めてリスクと規制手法確認、次回から本格議論
http://www.yakiniku.or.jp/sei/meet_data2.html
生レバーに関しては実際に、ある種の溶液に漬けたり、紫外線等で菌を死滅させる方法など研究されているようですので、今後に期待というところでしょうか・・・。
個人的には、あらゆる食品において「ゼロリスク」を求めるのは無理なのではないかと思ってます。ゼロリスクを求めるなら、フグだって生ガキだって規制の対象にならざるを得ないんじゃなかろうか・・・なんて事も考えてしまいます、はい。
「食肉通信」という業界紙を購読しています。
最近の記事には去年の牛肉の売れ筋や価格の推移などが書いてありました。
11月・12月の消費動向などを読んでみると・・・牛肉の消費が少しだけ増えているとか。
(これは国産牛肉だけじゃなく輸入肉も含まれているわけで、和牛生産農家としては素直に喜んで良い数字ではないのかもしれませんけど・・・。)
例年、特に12月は、お歳暮や正月の需要としてすき焼き用のお肉が売れるみたいなのですが、今年は特にローストビーフ用のモモ肉の塊が売れたのだとか。
記事によれば、TVなどで取り上げられた「炊飯器で作るローストビーフ」が影響したのではとの事でした。
このブログでも取り上げ、実際に私も何度か作ってみました。
作り方はこちら→炊飯器で作るローストビーフ
とりあえず、何と言っても 「楽」 (*´ω`*)
オーブンで作るとなると、温度を気にして、焼き上がりにも気を配ったにも関わらず、火が上手く通ってなかったり、あるいはパサパサになったり、作った後は天板を洗ったり・・・
▲ちょっと火が通りすぎた例( ´;ω;`)ブワッ
色々考えると作るのが億劫になるのがローストビーフなわけですが、炊飯器にお任せの方法は本当に簡単なんですよ。
何より、まず失敗することはないし、おまけに出来上がりも、旨い!
低温調理法(お肉を低温でじっくり熱を通す事によって、うまみ成分を引き出す調理法)ってのも話題になりましたが、炊飯器を使えば、それが簡単にできるのです。
それにローストビーフって「豪華な食事」ってイメージがありますよね?
それが炊飯器で簡単に出来るなら、一度は作ってみようかと思うのは主婦なら当然。
モモ肉の売り上げが伸びたのも道理ってものです。
しかし、TVの影響って凄いですね。
TVで取り上げられると、やっぱり一般主婦の食いつきが違うって、しみじみ思いました。
・・・・やっぱり、牛肉の食べ方を提案していくって大切なんですね。
よく聞くのが(特に生産者から)
「牛肉は、焼いて塩で食べるのが一番なんだよ!」
って言葉。
私としても異存はありません。
私も、良い肉を塩で食べるのが一番牛肉の旨さがわかると思ってます。
でも、一般の消費者に
もっといろんな方法で牛肉の色んな美味しさを知って貰って、
もっともっと牛肉の事を知って貰って、
もっともっとたくさん食べて貰うには、
色んなジャンルの料理人さんたちとタッグを組んで、
あるいは生産者自ら、
色んな提案をしていかなきゃいけないんですよね・・・
塩が一番旨い!って言ってるだけなら、消費拡大には繋がらないわけで。
とりあえず・・・・
炊飯器で作るローストビーフの作り方を考えてくれた人、ありがとう!
4月の記事なので少々古いが、これは面白いので保存!
牛肉粗脂肪含有量 簡単に予測 携帯分光装置を活用
宮崎大学の研究グループ日本農業新聞 2013年4月11日付転載(改行等加えた)
宮崎大学大学院農学研究科の入江正和教授の研究グループでは、牛肉のオレイン酸含量などの脂質を評価する従来の分光装置で、粗脂肪含有量も調べられることを明らかにした。
現在、食肉の脂肪を正確に測るには、肉を処理して実験的に調べる必要があり、手間と時間がかかる。装置なら食肉にあてるだけで分かるため手軽で、肉質評価の手段の一つとして普及する可能性が高いとみる。
用いるのは、相馬光学(東京都日の出町)などが開発した携帯型の近赤外分光装置。食肉に光を当てて反射する光の種類を調べ、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸などの成分含有量を予測する。
成分の実測値が分かっている食肉と、反射光の関係を事前に数多く調べ上げ、傾向を数式(検量線)としてコンピューター内に蓄積、予測の精度を高める仕組みだ。
研究グループは、同じ原理で粗脂肪含有量の実測値と反射光の検量線を、胸最長筋、僧帽筋、背棘(はいきょく)筋の3部位で作成。粗脂肪含有量はこれまで試していなかったが、高い精度で予測できることを確かめた。
検量線の作成には分光装置に加えソフトが必要。ソフトは高価だが市販されており、所有する自治体もある。
入江教授は「黒毛和種では牛肉内の脂肪含有量はこれ以上高めない方向にあり、脂肪含有量を数値で把握する意味が大きくなっている」と指摘。
各地で生産の機運が高まる赤身肉でも、「ヘルシーさを消費者に訴えたり、ブランド化したりするには数値で示すことが有効だ」と話す。
入江教授は以前拝聴した講演でも
「黒毛のサシは行く着くところまで行ってしまった」と話されていた。
何度も書いてきたことだが、サシ過剰・偏重との意見はあちこちで聞く。
しかしながら、現在の格付基準ではサシが多ければ多いほど高値がついてしまう状況。
高値が付くのなら、生産者はサシを入れる事に力を注いでしまう。
牛肉の格付というのは、
「食肉取引の中で同じ品質の物は全国どこでも同水準の価格で取引されるべきである」という理念に基づいて、一定の基準を設けたもの
であって、取引上、やはり必要不可欠なものであることは間違いない。
相対取引であっても食肉販売会であっても、東京や大阪などの大都市の格付けによる価格が地方での取引にも反映されるのだから、田舎の生産者が買い叩かれる事は、まず避けられるわけだ。
なんらかの「目安・ものさし」は、牛肉の取引において欠かせない物なのだ。
ある小売りの方に「これはA4等級の肉です、と書いておくと、明らかに何も書かない物より売れ方が違う」という話を聞いた。
ビールの宣伝で「A5ザブトン!」と、スーパーか何かの店頭の肉を取り合うシーンも見られる。これは、「ちょっと豪華にやりたい」と思った時にA5ランクの牛肉を使いたいという消費者の気持ちを代弁したものかもしれない。
要するに、消費者の側も牛肉を買う際に「何らかの目安・基準」を求めているという事ではなかろうか?
ところが、現在の格付の最上級であるA5等級BMSNo.12の牛肉の多くは、脂肪含有率が50%を超えている。
肉のうまみを感じる脂肪含有率は30%、せいぜい40%で、50%を超える物は「脂のくどさを感じる」と不評であるとの官能検査の結果も出ている。
枝肉の取引上の最高ランクの「A5等級BMSNo.12の牛肉」が、必ずしも消費者が美味しいと感じる肉では無いとも言えるのだ。
この状況を変えるには、格付けの基準を変えるのが一番手っ取り早いんではなかろうか?ってことは、このブログでも何度も書いてきた。
飽くまで個人的な考えだが、
・5等級はBMS No.10まで
・脂肪含有率が50%を超える物は4等級に格下げ
この位やらなきゃ、現在の「サシ過剰・サシ偏重」は変わらないのではないか。
ま、勝手な考えではあるんだけれど、これ位の基準変更が無ければ、相変わらずのサシ偏重主義から抜け出ることは出来ないと思う。
少なくとも生産者自らが「5等級の肉って旨いか?脂っこくて食えないよな」なんて言ってる状況からは抜け出ることができると思う。
(自分が作ってる「格付の最上級の肉」を自分で旨くないって言ってる現状は、絶対変だ!もちろん、脂の質によって感じる旨味には違う物があって、生産者はもっと脂の質にも気を配るべきだと思うのだけれど)
今回の入江教授の粗脂肪含有率の計測は、牛肉の新たな基準を示してくれるものであるのかもしれない、なんて期待をしているのだが・・・・。
この牛肉は粗脂肪含有率が20%以下でヘルシー志向の方には最適です。
これは粗脂肪含有率30%で牛肉の柔らかさとうまみを兼ね備えて、すき焼きに最適な牛肉ですよ!
ビーフカツレツには粗脂肪含有率10%のこの肉を!
そんなセールストークが消費者にすんなりと受け入れられるようになれば、消費者もTPOに応じて好きな肉質の牛肉を選べるようになれば・・・、生産者としても色んな可能性を探れる。
先日、繁殖農家の若者が事務所に顔を見せてくれまして・・・
ちょうど前の日に神戸で共励会があり、そこでウチのお肉が最優秀賞をとった事もあり、話は自ずとその方向へ行くわけです。
「忠富士(口蹄疫の時に殺処分された)だったから今後の参考にはならんかもしれんけど、A5等級BMS12だったよ」
「え~!!!だったらキロ7000円位で売れたんじゃないですか?」
「え?・・・・・・」
フェイスブックに写真入りで載せたら、見た人からは
「ずいぶん儲かったでしょう?」なんて言われるし・・・・
いかに繁殖農家さんが「枝肉」と遠い所にいるのかがわかる出来事でした。
まぁ、肥育農家は繁殖農家の苦労を殆ど知らないわけで、
「繁殖農家も少しは枝肉の値段くらいは知っててよ」
などと言うのも、すごく偉そうに聞こえるだろうなぁなんて思ったりもするのです。
それに、市場関係者や卸業者さんから
「肥育農家さんは、せめて自分の枝肉ぐらいは見に来てほしいんですが」
「成績と値段だけ聞けばそれでOKという肥育農家さんも多いです」
「成績が良ければ脂の質とか考えない人もいるんですよ」
「自分が育てた牛の肉を食べた事がない肥育農家もいるわけで」
・・・なんて話も聞くわけです。
肥育農家だから、みんなが「自分が作った枝肉」の事を考えてるかと言えば、残念ながらそうでもないらしくて・・・・。
「最終的には消費者に届くお肉の基を作ってるのは繁殖農家なんだから、牛だけじゃなくて肉の事も少しは勉強しろよ!」
なんて簡単には言えないよなぁ・・・と。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
正直に書きましょう。
今回のA5等級BMS12の枝単価は
キロ単価 2300円代でした。
世が世なら(笑)3000円位はしたかもしれません。
(10年位前の話ですけどね・・・。)
たとえA5等級の枝でも、2000円を超すのが難しいのが今の相場です。
さて、この枝肉価格ってやつですが、日本農業新聞には火曜日から土曜日まで、主要な市場の前日の取引平均価格が掲載されます。
日本経済新聞にも載りますね。
この主要市場での取引価格が、地方での枝肉取引の価格の目安になります。
例えばウチが月に数頭出荷している宮崎のミヤチク高崎工場で処理されたお肉の値段を決めるのには、大阪と東京の間近1週間の平均価格を参考に卸業者さんと「相対取引」されます。
「A4等級BMS7だから、東京・大阪がこれ位だし、○○○○円でどう?」
「この枝肉は抜けがいいから、50円位は上乗せしてくださいよー」
などと値決めを交渉するのです。
ウチはJAさんを通してないので、JA経由の値決めがどの様に行われているのかは知りませんが、ま、似たようなものじゃないかと思います。
この枝肉価格については、日々の取引に関しては
(社)日本食肉市場卸売協会のHP(http://www.jmma.or.jp/)や
独立行政法人 農畜産業振興機構(alic)のHP、畜産、統計資料
(http://www.alic.go.jp/livestock/index.html)でも、見ることが出来ます。
新聞にしてもこのHPにしても注意しなければならないのは、
☆東京の市場に関しては
・毎週月曜日は松阪牛の取引が入り、平均価格が跳ね上がる
(東京は全体の上場数が多いので、跳ね上がるとは言っても平均すれば200円くらいの上昇)
☆神戸市場は
・月曜日に神戸ビーフの共励会が入ることがあり、平均価格が跳ね上がる
(神戸の場合は月曜日に限らず、神戸ビーフが搬入されると値段が上がる。神戸は上場数が少ないので神戸ビーフの影響を受けやすく、他の市場と比べると高値で推移しているように見える)
☆どの市場でも大きな共励会が入ると、平均価格は上がる
という点です。
大阪の市場に関しては資料が無いのでよく分かりませんが、
東京に関しては 東京食肉市場・共励会カレンダー(http://www.tmmc.co.jp/kyourei/index.html)
神戸に関しては 神戸市中央卸売市場西部市場・行事予定
(http://www.kccn.co.jp/event/)
で、共励会の予定を知ることができます。
言いたいのは、
「大きな共励会や有名ブランドの牛が入ると枝肉価格は上がるので、日々の枝肉価格の推移は、あんまり参考にならんぞ」ということです。
小さな共励会なら、普通のセリ市での相場と殆ど変わりはありません。
枝肉価格を見るなら、日々の変動ではなくせめて週や月間での変動を見るのがよろしいかと思います。
繁殖農家さんが実際に枝肉やセリの様子を目にするのは、JA主催の共励会や、全農や全畜連主催の大きな共励会が主で「日々行われている市場でのセリ」の詳しい情報は殆ど入ってこないものと思われます。
普通のセリ市で(今の相場なら)例えA5等級BMS12だろうが、キロ単価3000円を超すことなど無いです(キッパリ!)。
世間には「ご祝儀相場」ってのがありまして・・・
大きな共励会の時には、普段では見られない金額になる事がありますが。
このあたりの事を知らないから繁殖農家さんは、
「キロ7000円ですかぁ?」とか
「A5等級出せば2000円以上するんだから、頑張って下さいよ」
なんて平気で言うのだろうなぁ・・・と思った次第。
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サシが入れば良いってものじゃないよ・・・
サシが全てでは無いよ・・・
なんて言いながらA5等級 BMS12が出れば、やっぱり嬉しいのです。
格付けの最高ランクが出るってことは
「牛の持つ能力を十分に活かすことができた」
「それだけの技術を持っている」
という証しでもあります。
サシだけじゃないだろ、美味しさを求めなきゃ・・・
なんて言うと
「最高ランクを出す能力・技術が無いから、そんな事を言ってる」
とも、言われるわけです(笑)
実力が無いから、肥育技術が無いから勝手なこと言ってる・・・
そう言われないためにも、ある程度の成績は出さねばと思ってます。
2月12日付の「食肉通信」に大きくオレイン酸の事が取り上げられていました。
牛肉の脂肪の質評価について
オレイン酸の特性 香り、口溶けなどに直結サシ偏重主義から〝本当においしい牛肉〟へ――― ということで、昨年行われた「全国和牛能力共進会」肉牛の部の審査基準で「脂肪の質」の評価基準が本格的に導入された。
全国的に見てもオレイン酸含有量を差別化に打ち出すブランドも。
こうした中、種牛造成や肥育牛の育成についてどのような変化が起きているのか。
という風な前置きで色々と書いてあるのですが、例によって要点のみを。
★サシ偏重からの脱却が言われて久しい。
脂肪交雑に代わる新たな評価基準としてオレイン酸に注目が◎牛肉の美味しさは、大別すると
味覚
臭覚
触覚(柔らかさなど)
聴覚(キメ、締り、咀嚼音)
視覚(脂肪交雑)◎和牛肉の脂が輸入牛肉と比較してうまみが強いと言われる理由は
オレイン酸含有量が多い
脂の融点が低く、口の中で脂がとけるため◎オレイン酸の多寡は
香りと口溶け
うまみ(脂の甘さ)に、深く結びついていると言われている
☆オレイン酸とは?
・飽和脂肪酸・・・バターやココナッツ油に多く含まれる
・多価不飽和脂肪酸・・・魚の脂質(DHAなど)に含まれる
・一価不飽和脂肪酸・・・オリーブ油やアボカドなどに多く含まれるオレイン酸は一価不飽和脂肪酸(MUFA)の一つ
・善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールを減らす
(動脈硬化、高血圧、心臓疾患を抑制する作用があると言われる)
・多価不飽和脂肪酸に比べ、酸化しにくい★牛肉においてオレイン酸が注目を集める背景
☆消費者が好む脂肪交雑と共励会入賞牛クラスの牛の脂肪交雑との乖離
◎BMS No.3、5、7、9、12の5種を視覚のみの評価で比較した結果、
消費者の好みは・・・(財団法人 日本食肉消費総合センター調べ)BMS No.9・・・29%
BMS No.7・・・18%
BMS No.5・・・17.7%
BMS No.3・・・12.9%
BMS No.12・・・12.8%4~5等級を評価する声はあるが、共励会入賞牛クラスの脂肪交雑を消費者の多くが支持しているわけではなく、ニーズは多様化している
☆全国和牛登録協会の育種価導入の成果
◎和牛の遺伝的能力を解析し、種雄牛、繁殖牛を選抜・淘汰して優秀な産子を造成する「育種価評価」導入により枝肉の質が飛躍的に向上
・ロース芯が大きい
・バラが厚い
・脂肪交雑が良く入るようになった「脂肪交雑の技術については、ある種行きつくところまでいった感」
(全国和牛登録協会 勝田智博情報解析課 課長補佐 談)☆脂肪交雑とうまみの強さは32~33%程度でピークに達するという調査報告も
☆BMSナンバーが高くなりすぎると脂っこさも比例してますため、風味を損ねるという評価結果も
★第10回全共で肉牛の部の審査基準へオレイン酸の多寡を導入
☆肉牛の部の全区で、肉質順位は「肉質得点順位」対「脂肪の質順位」を4対1で重み付けした順位で決定
(脂肪の質の評価は光学測定装置によるMUFA含有率の予測値で決定)☆ただし、脂肪の質が評価に占める割合は全審査基準の10%の位置付け
☆従来の価値観を覆すものではなく、あくまで審査項目の一つという位置付け
(本格的に導入されたとはいえ、まだまだ手さぐり状態)
★生産現場での取り組み他
☆脂肪交雑の評価基準BMSナンバーとMUFAは殆ど相関関係が無い
・5等級だからといって必ずしもオレイン酸が高いわけではない
・現在の「価値=相場」の基準と等しく連動していない◎生産農家は「脂肪交雑も維持しながらオレイン酸も多い肉」を作るべく取り組んでいる
・生米ぬかなどの糖度の高い飼料を用いるなど
☆肥育月齢とMUFAの相関関係は密接に結びついている
業界で一般的に認知されている「長期肥育された牛は味に深みがある」という説は科学的にも一定の根拠があることがわかった
☆全国和牛登録協会でも、長期肥育した牛に匹敵する味わいを持つ育種価にも取り組んでいる
★まとめ
☆高齢化、健康志向の中、食肉消費を促進していくため「オレイン酸」の持つ栄養特性を上手く打ち出し、販促につなげていく → 牛肉のイメージアップ
☆前出 勝田課長補佐の言葉として
・オレイン酸含有量が多ければ多いほどおいしいというわけではない
・サシが入れば価値が上がるという基準になっている
・実際に食べておいしいかは、あとまわしになってきた印象
・本当の意味で 食べておいしい牛肉 を作っていかなければならない・審査基準の中で脂肪の質評価の比重は、さらなる検討が必要
・枝肉の価値観との連動性にも注目していかねばならない以上
このブログをずっと読んで下さってる方には、特に目新しい内容の記事ではないかもしれません。
けれど、これが「畜産の業界誌」ではなく「流通・小売の業界紙」に書かれたことは、個人的には凄く嬉しいことでした。
競り市では、どうしても等級の高い物が高値になります。
もちろん買参人さん達は、全体的な枝の良し悪し、脂の質、サシの細かさなどを吟味して値段を決めているわけですが、例えば枝肉の共励会で5等級BMS12の枝があれば、5等級BMS10の枝の方が多数の買参人さんの好みの肉質・脂質の物であっても、BMS12の枝の方が最優秀賞(チャンピオン牛)になり最高値が付きます。
サシが多く入っている方に高値がつけば、どうしても生産者は「よりサシを入れること」を目指して行くのです。
この事が「サシ偏重」「サシ過剰」に繋がってきたわけです。
「美味しさ」の指標の一つであると言われるオレイン酸含有量が、格付け以外での「値付けの目安」になれば、また、生産者が目指す肉作りの姿勢も変わってくるのかもしれません。
(もちろん「おいしさ」を決めるのがオレイン酸の数値だけでは無いのは確かです。)
また、生産者が「サシにこだわらない、より美味しい肉」を目指しても、それを購入してくれる買参人さん、業者さん、肉屋さんや飲食店の協力と理解が必要不可欠です。
ぶっちゃけて言えば「この肉なら美味しいに違いない!」と買参人さんが認めてくれた4等級の枝肉を、5等級BMS12の枝肉より高く買ってくれる事だと思うのです。
このあたりは、ものすごく難しいことなんだろうなぁ・・・とは思うのですけど。
ま、とにかく、一つの切り口である「オレイン酸」に関して、流通・小売の業界紙が大きく取り扱ってくれたことには、大いに感謝する次第です、はい。
オレイン酸が多すぎても美味しくない、というのは業界の間でも何度か目にし、耳にもしました。
んじゃ、どれ位の数値なら良いのでしょうね????
せっかく「指標のひとつ」にするなら、そこの所も突き詰めて欲しいなぁと思うのでありました。
牛が「肉」になる過程には、屠畜、解体といった作業が必要になります。
屠畜とは簡単に言えば「家畜を殺すこと」です。
牛肉が消費者に届けられるためには、避けては通れない作業です。
この屠畜・解体といった作業が行われるのが「と場・と畜場」。
(屠るという字が常用漢字ではないため、施設の名前は ひらがなで記されます)
「食肉センター」と呼ぶところもあります。
全国で約150カ所ある施設のうち、数カ所は施設内の見学もさせてくれます。
その数少ない見学可能な施設「加古川市場」の事が1月15日付けの「食肉通信」に書かれていました。
業界紙を丸ごと転載するのは、ちょっとまずいだろうと思うので要点のみ。
食肉センターがどういうものかを一般の人は全く知らない中、汚い、暗いというイメージを持つ人もいる。
また職業的な差別意識を持つ人もいる。
隠すことが却って悪い印象を与えているのでは?どういう仕事をし、どう取り組んでいるかを見てもらい理解してもらうことで、
いかに衛生的に従事しており、大切な仕事だと知って貰えれば。見学者を受け入れ“見られている”という意識から、従事者たちも自発的に、より衛生に気をつけて取り組むようになった。
H12年度に改築した際に「さらに開かれた市場にしていく必要があるだろう」との考えから見学室を設置。
H18年度に加古川市場を題材にしたドキュメンタリー映画「にくのひと」が話題になったことから、兵庫県は食肉センターの状況や食育問題について情報提供していくために、食肉の安全・安心を啓発するDVDを製作。
こういった取り組みから見学者は増加。現在は年間約1千名が訪れている。
見学者は、学生や教師、教育委員会、僧職関係、調理師専門学校生、自衛隊員、人権問題関連で一般企業関係者も。また、部分肉取引が主流になったため食肉業者の見学も多い。
見学室ではノッキングから放血、内臓摘出などオンレール方式による処理過程の様子を見ることができる。
放血など刺激の強い工程は見学窓を別に分けている。その後、必要であればDVDの鑑賞、質疑応答の場も設けている。
見学者の声としては
貴重な体験をすることができた
レールによると畜作業が想像以上に衛生的だった
働いている人には感謝しなければならない
改めて命を頂いているということを実感した中には残酷だという意見も
見学にあたっては加古川食肉産業協同組合事務所に申込み(見学は団体のみ)
見学目的などに問題がなければ、当日、兵庫県食肉検査センターの担当者が場内を案内する。以上
記事の中の理事長の言葉
「生産と消費が分離してしまい、国内の農業が生活の基盤としてあることが忘れられてしまっている。見学への取り組みがそういった隔たりを解消するきっかけになれば」
確かに生産者と消費者が遠くになりすぎてる感はいなめません。
「牛肉が牛だった」という事も、牛を実際に見たことも触ったこともない人からすれば
なかなか結びつかない遠い世界の事なんですよね。
この加古川食肉センター見学の事が
「いただきますをさがして(by 絵本『いただきます』プロジェクト)」に書かれています。
牛の解体 〜加古川食肉センターで見学してきました。
http://itadakimasu.agasuke.net/beef01/
生々しい写真もありますので、特に牛の繁殖農家さんには刺激が強すぎるかもしれません。
(多分、実際に工程を追いながら見学しているより、写真で見る方がキツイかも)
ですが、こうやって書いてくれる方がいるからこそ、畜産に関係のない人たちに少しでも伝わる「何か」があるのだと思います。
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私も畜産農家、それも肉にするために牛を育てる肥育農家の端くれなので、
一度はきちんとその作業を見た方が良いと思いながら、なかなか踏み切れずにおりますが。
結構、覚悟がいるよね、やっぱ。
子牛の初競りも始まりました。
宮崎中央市場では高値での取引だったようで、繁殖農家さんはみんなニコニコしてるのでしょうね。
さて、昨年の11月から枝肉の価格も上昇したわけですが、お歳暮や歳末の手当てが落ち着いた12月の3週を境に急落しています。とほほ・・・
マグロの初競りで1億5千万円を超す値が付いたので、牛の枝肉もちょっとは期待していたのですが(笑)そうは上手くいかないようで。
8日付の日本農業新聞を見ると「和牛A3は2割高」という記事があります。
前年の初市と比べるとA3等級は260円高。
「景気低迷を反映して、価格の安い等級に引きがあった」とのこと。
今後は全国的に上場頭数が先細る見通しで、牛枝肉相場はおおむね堅調に推移するのではないか・・・との見方も。
頭数が減っている原因としては
・2010年の口蹄疫
・2011年の東日本大震災
これらの影響で素牛の生産量が落ち込んだため、頭数は平年に比べ1割ほど少なくなる(卸会社)と見ているようです。
ところでウチでは「食肉通信」という新聞を購読しています。
週一の発行で、どちらかというと食肉流通業界向けの内容です。
新年号は2部構成で、その中に「H25年の食肉業界の課題を探る」なんて記事が書かれていました。
その中で気になるのは、やはりこれからの牛肉消費の動向などなのですが・・・
ここでも「和牛相場がA3等級を中心に回復傾向」と書かれています。
A3等級の牛肉が不足しているから引き合いが強い、よって高くなっている、
という事らしいです。
「食肉通信」は農業新聞より、もうちょっとだけ突っ込んで書いてあるのですが、
・量販店の品揃えがA3中心になっている
・口蹄疫の後遺症
・倒産した安愚楽牧場が3等級を中心に生産していたのに、それが無くなった
これが、A3等級不足の原因とのこと。
「3等級の肉を欲しい」と思ってる人もたくさんいるってわけですね。
(逆に5等級は売れてないって事なんですが・・・。)
3等級で肥育農家に儲けが出るなら、無理にサシを入れずに出荷するというのも可能なのでしょうが、ここのところの素牛(子牛)価格の高さ、飼料の値上がりを考えると、やはり4等級以上の「上物」を作らねば赤字は必至です。
(現在の枝肉価格だと5等級でトントンって事もあるでしょう)
みんなが4等級以上を作っても、上物は売れず在庫が増え、ますます単価が下落する・・・という悪循環も考えられます。う~みゅ・・・
これからは、肥育期間を短くすることで経費を節減し、A3等級狙いで生産していく肥育農家も増えてくるかもしれませんね。
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昨年の初めは破たんした安愚楽牧場の換金目的の大量出荷で相場が崩れ、末からは3等級が足りない状況だそうで・・・何か振り回されていますね。
しかし・・・「安愚楽牧場は逆ブランド」という噂は聞いてはいたのですが、本当に3等級中心の生産だったのですね。知らなかったわ~。
3等級だから欲しいと思っている人もいるし、3等級には3等級の美味しさも利用法もあるわけで、「3等級だから悪い肉」でない事だけは確かです。はい。
「行かない?」と某氏に誘われまして・・・
そりゃ行きますわね。
なんたって今回のテーマは「おいしい牛肉」ですから。
正確には 第50回肉用牛研究会「宮崎大会」肉用牛シンポジウム です。
主催:肉用牛研究所
共催:宮崎県、(公社)宮崎県畜産協会、宮崎県経済連農業協同組合
講演の演題は、
「牛肉の品質と食味」・・・・・宮崎大学教授 入江 正和 氏
「おいしい牛肉とは・・」家畜改良センター肉畜分析第1係長 齋藤 薫 氏
「美味しい牛肉が評価される流通へ」Speciai Food.J 社長 松田 武昭 氏
「牛肉の新たな料理」・・・・・キッチャーノ シェフ 山縣 類 氏
ビデオを撮りつつ拝聴させて頂きました。
まだビデオをチェックしていないのですが、講演者の方々のお話で気になった点と言うか、心に残った点をメモ。(入江・齋藤先生に関しては頂いた資料を参考にした)
★入江先生
・肉質や食味は多くの要因によって成り立っており、一つの指標だけでは良否を判断できない
・食味を決める官能検査は重要で、オーストラリアでは官能検査を重視して食肉消費の落ち込みが回復した
・枝肉格付けは商品価値を決める絶対的なものではなく、プラスアルファ(例えばオレイン酸数値など)の工夫が出来る
・旧規格の「特選」と新規格の比較
昭和から平成の初めの脂肪含有率30%が現在では40%、多い物では50%を超えている
50%を超えるものは「脂肪の中に肉がある状態」
・BMS.Noの否定ではなく、多様性・特徴付けが生き残りに必要
現在「脂肪質」が重視され始めているのは、方向転換の一つ
・黒毛和牛では、サシの多さと細かさ、柔らかさ、きめの細かさは必須アイテム
・美味しさの要因の一つである「風味」は舌だけでなく嗅覚器によるものもある
食味に関しても舌に感じるものは一部で、「香」が左右する
・食味の良さは、遺伝(品種・系統・性など)、飼養管理(飼料・肥育期間・飼養状態など)、と畜前後の状態(出荷・と畜処理・保存・熟成)までを品質管理して初めて得られる
・食味、官能評価、理化学分析などの結果から消費者ニーズに応えていかなくては
★齋藤先生
・近年の食肉需要は多様化(健康志向、安全性・品質、おいしさなど)している
・過度の脂肪交雑重視が問題となっている
種雄牛の集中とそれに伴う近交係数、飼料穀物の高騰による生産費の上昇、消費者ニーズの多様化(消費者層の高年齢化・赤身の嗜好など)
・食味に影響すると考えられる粗脂肪含有量、脂肪酸組成等について、消費者ニーズを踏まえた育種改良に利用できる食味の指標とするために遺伝的な関連性の調査、消費者評価との関連性が重要
・官能評価とは、人の感覚による評価
(食品の外観、食感、匂い、味など五感で感じ取り、その強さや好き嫌いの程度を測定評価するもの)
・枝肉格付けや分析機器による成分分析値が品質評価に利用されているが、実際に調理した時の食味性も重要
・理化学特性と官能特性から見た食味性と食肉に関する消費者アンケートの調査結果報告
★松田先生
松田氏は大阪市中央卸売市場で肉の良し悪しを見てきた後、畜産流通コンサル会社を設立。卸に携わった経験から生産農家にアドバイスなどをしてきたが、生産現場を知るために和牛生産をも始めた。
講演を聞いている途中で気が付いたが「なにわ黒牛プロジェクト」にも関わっているらしい。(なにわ黒牛プロジェクトに関しては、そのうちブログに書こうと思っていたのだけど、興味のある方は検索してみてください)
同じ生産者の立場からは、最も取っつきやすい、納得しやすい話だった。
・和牛生産者は市況に左右される。左右されない為にも、JAや市場への出荷だけでなく、肉を必要としてくれる人との「相対取引」も考えてみるべき
・6次産業化がもてはやされているが、現実問題として肉牛生産現場では難しい
・味重視の肥育に関して(薄い濃厚飼料、長期肥育など)
・肉屋が重視するのは「歩留」、枝肉の良し悪しについて
・美味しさを追求するなら交配するのに但馬の血統は欠かせない
※松田氏の話は尤もなのだが・・・
流通から生産に参入するのは簡単だが、生産から流通にまで手を伸ばす事の難しさ・障害に関して触れられていないのが、ちょっと残念だった。殆どの個人生産者はJAからの借り入れなどがあればJAを通してしか出荷できていない。個人的に「相対取引」をしたくともできない状況もある。
しかしながら、農家の所得向上のための「6次産業化」が肉牛の生産現場において、いかに難しいかに関しては、設備投資、それに伴う人件費・回転資金などの問題から常々「簡単に言うなよ」と思っていただけに大いに賛同。
★山縣先生
事前に貰っていた案内を見ても、山縣さんて誰?って状態だったのですが・・・・
当日配布された資料を見たら、あの「キッチャーノ」のオーナーシェフじゃありませんか!
「キッチャーノ」は最近の雑誌の「赤身肉特集」には、必ずと言ってよいほど名前が挙がる店。
・こだわりの肉について( 北里八雲牛、九州大学Qビーフ、短角などの放牧を中心としたグラスフェッドビーフに関して)
・消費者のニーズについて
実際に店頭に立ってみて客席からの赤身肉のオーダーが多い
牛肉の食べ方が変化してきたと感じる
・生産者の顔が見えること、子供の頃から親しませるのが大事
と、まぁ、こんな感じの講演でありました。
パネルディスカッションの後、県畜産試験場、岩崎場長のお話があったのですが・・・
正直、私的にはこれが一番の収穫でした。
畜産試験場における「牛肉のおいしさに係る試験研究への取り組み」状況です。
すんません、忠富士が出てきた時点で「なに考えとるん?」と思ってました。
(脂肪交雑・増体などからすれば、生産者にとっては儲かる牛なんですが・・・)
宮崎の種牛ってサシ重視、増体重視に走りすぎてない?とも思ってました。
しかし!!!
「宮崎牛おいしさ追求プロジェクト」ってのがあるんだそうです。
宮崎県産牛肉のおいしさに関する実態調査、
牛肉の官能評価と分析データの関連性調査、
なんてのも行ってるらしいです。
その成果として
・食肉脂質測定装置を活用した脂肪酸測定、ロース断面の画像解析を行い、種雄牛による差異が確認された。
要は「オレイン酸数値」と「コザシ」に関して、優位な種雄牛が見つかったって事ですよね?
・官能評価により、牛肉の多汁性や味の濃さなどの評価区分の可能性が示唆された
脂肪交雑(BMS.No)以外の牛肉の評価基準の可能性があるかもしれないって事ですよね?
また、H25年度の研究課題として
新たな「宮崎牛」の評価技術の検討
新規種雄牛の造成に係る後代検定牛を対象に、平成25年度から新たに牛肉のオレイン酸含量や脂肪の細かさ等の項目を調査・収集し、それらを基に新規評価基準を作成・評価に活用することで、更なるおいしい宮崎牛の生産拡大を図る
・・・だそうです。
ホント、ごめんなさい。
そうとも知らずこのブログでも「宮崎県、バカじゃね?」「事業団、何考えてんの?」などと好き勝手書いてきました。
できましたら、どの様な研究をしているか、肉牛の将来の姿をどう考えているか、などなど
生産者の目に届くよう、情報発信をもっともっとして頂けたらと思う次第でございます。
今回のシンポ、県外からも多くの方が講演を聞きにいらしていたのですが・・・・
JA関係者、生産者(特に繁殖農家)が果たしてどれくらい来ていたのでしょう?
繁殖農家の声として耳にするのが
「事業団は何考えてるんだ?小さい種牛ばっかり作りやがって」
「大きい子牛でないと高く売れないんだから」
「肥育農家がサシが入って大きくなる牛を高くで買うんだから、その種を付ける」
などという言葉です。
まぁ確かに肥育農家も「少しでも儲かる牛」を期待して買うわけですから、増体やサシ重視の種牛に走るのは仕方がないのですが・・・・
今回の様なシンポで目先が少しでも変わるのではないかと思うと、もうちょっとJAや生産者の参加者が多くても良かったのではないかと・・・
これからの「宮崎牛」のためにJA主導の意識改革が必要じゃないかとも思うのです。
「よりおいしい宮崎牛」「消費者ニーズに応えたお肉」になるべく、県畜産試験場や事業団、JA・経済連の連携がより密になされることを期待しています。
※以下、マスコミでの報道
「おいしい牛肉」テーマにシンポ
西日本新聞経済電子版 2012年09月07日 03時00分 更新
http://qbiz.jp/article/1953/1/
全国の肉用牛の研究者でつくる肉用牛研究会(会長=入江正和・宮崎大教授)の宮崎大会が6日、宮崎市で始まり、初日のシンポジウムでは「おいしい牛肉の課題と今後」をテーマにパネル討論などがあった。
討論では、福島県の家畜改良センターの斎藤薫さんが「消費者ニーズが多様化し、食味(味わい)を評価する新たな指標が求められている」と指摘。宮崎県畜産試験場の岩崎充祐場長は、牛肉に含まれるオレイン酸の量がうまみに影響することから、その含有量も宮崎牛の種牛育成の指標に加える方針を示した。
都内のイタリア料理店シェフの山縣(やまがた)類さんは「肉の格付けにこだわらず、特性を生かすことが大事」と強調。入江教授は「国際競争で生き残るには品質とおいしさで勝負するしかない」と話し、消費者と生産者が顔の見える関係を築くことや、子どもたちにおいしい肉を食べてもらい、肉文化を根付かせることの大切さを訴えた。
最終日の7日は参加者の研究発表がある。
牛肉の販売戦略探るシンポ…宮崎
牛肉の今後の販売戦略などを探る「肉用牛シンポジウム」が6日、宮崎市の宮崎公立大で開かれた。
肉牛の研究者やイタリア料理のシェフら4人が「おいしい牛肉」をテーマに講演、県内外の畜産関係者ら約200人が聞き入った。
シンポジウムは、全国の研究者らでつくる肉用牛研究会(会長=入江正和・宮崎大教授)の宮崎大会(6、7日)に合わせて開催。冒頭、岡村巌・県農政水産部長が「枝肉価格の低迷や牛肉消費の低下など課題が山積している。今後の肉用牛改良の方向性を指し示す議論を期待したい」とあいさつした。
入江教授は「牛肉の品質と食味」のテーマで基調講演し、全国の畜産県で脂肪の質やうま味成分など独自の付加価値を打ち出す動きが活発化していることを紹介。霜降りの量などでランク分けする従来の格付けについて「格付けは重要だが絶対ではない。消費者の希望を聞きながら、こだわりの飼育法を前面に出し、生産者の顔が見える売り方が求められている」と述べた。
(2012年9月7日 読売新聞)
肉用牛研究会シンポ 消費者ニーズ大切に
日本農業新聞 2012年9月7日付
畜産の研究者や指導員、生産者などで組織する肉用牛研究会は6日、宮崎市で肉用牛研究会シンポジウムを開き、研究者や販売関係者などが意見を交わし、牛肉のおいしさの“決め手”を探った。
脂肪の質などを研究している宮崎大学の入江正和教授は「おいしい牛肉は消費者が持つイメージで変わる」と説明。消費者ニーズに合った肉用牛生産を訴えた。
120人が参加。シンポジウムで入江教授は、黒毛和牛は改良の成果で脂肪交雑が進んだが「近親交配の弊害や、脂肪が多すぎることによる健康への懸念、赤身肉の良さの低下が出てきた」と、課題を指摘した。
味覚や嗅覚、滑らかさなどの食味に加え、個人ごとに違う経験やブランドイメージなどがおいしさを構成すると説明。
「枝肉格付けは重要だが、消費者を巻き込み、おいしい牛肉づくりで工夫する余地はある」と、新たな改良の方向性を提起。風味に関する脂肪の成分に着目、脂肪の質を重視するブランド牛の動向を紹介した。7日にも飼料米を給与した肥育牛の発育特性などの成果を報告する。
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