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2012/10/14

口蹄疫ウイルスの侵入経路(JASV口蹄疫終息記念セミナーの講演より)

JASV口蹄疫終息記念セミナーが去る9月6日に開催されました。

その時のパンフレットを入手しましたので一部を紹介。
宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 防疫戦略部門 末吉益雄教授が講演された物です。

2010年口蹄疫の発生経緯、発生状況、被害拡大の経緯、ウイルスや症状に関して、ウイルスの侵入経路と発生拡大の理由、今後の防疫態勢について、などが書かれていますが、今回はこの中から「ウイルスの侵入経路」に関する部分だけを抜き出して記録しておきます。

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a.侵入経路

 どこからどの経路で口蹄疫ウイルスが宮崎には行ってきたのでしょうか?
 可能性として

①輸入稲わらにウイルスがくっついていた?

②水牛が元々ウイルスを持っていた?

③黄砂にウイルスが付着して中国から運ばれた?

④外国人の農場研修宮崎旅行でウイルスが運ばれた?

⑤農場関係者が外国に旅行してウイルスを知らずに持ち帰った?

⑥2000年発生時のウイルスが野生動物の中で、あるいは環境中に残っていた?

 以下の理由で、上記のことは否定され、あるいは不確かでした。継続して検証する必要があります。

①同じ輸入稲わらのロットを使用していて、発生と非発生農場の違いがない。中国からの輸入稲わらについては、過去3年間、半径50Km以内の地域に口蹄疫などの発生がない場所で生産、処理、保管されたもので、湿温80度以上で10分以上加熱処理が課せられている。
 しかし、常にリスクはつきまといます。過去には、輸入わらから生きた昆虫が見つかったこともあります。それは、完全に熱が通っていなかったことを意味します。
 口蹄疫が発生している中国から、高いリスクをかかえて、わざわざ輸入しないで、稲作農家との連携をとって、稲わらの「地産地消」を目指すべきです。

②当該水牛は、口蹄疫の発生していないオーストラリア生まれのオーストラリア育ちでした。その水牛を他のどの国にも寄港せず、直接日本に輸入した。
 よってもともと口蹄疫ウイルスを持っていたということはありません。
 また、動物検疫の際に、採血し、残っていた水牛の血清についても検査して、口蹄疫ウイルス抗体が陰性であったことが分かりました。
 水牛も、また、犠牲者でした。

③黄砂から口蹄疫ウイルスの遺伝子が検出されたと報告がありました。
 しかし、検査方法などその信頼性について疑問が残されています。
 韓国では、米国との共同研究で、黄砂について調査したところ、否定されました。
 また、黄砂で運ばれたのであれば、もっと広い地域で同時多発的に発生してもおかしくありません。

④外国人の農場研修宮崎旅行は確認できませんでした。
 関連した外国人の農場訪問については、うわさはたくさんありました。それらについて、元を辿っていくと、確証が得られませんでした。このことから、農場訪問者については、記帳することが求められています。「記憶」より「記録」です。

⑤農場関係者の間近(3週間以内)の外国旅行の事実も確認できませんでした。
 少なくとも、最初の10件についてでも、全関係者にパスポート提出を求める強制捜査ができれば、もう少し、詳細に詰められたと思いますが、農水省の疫学調査チームには警察庁関係者は含まれておらず、捜査権はありませんでした。
 この教訓を元に、農水省だけでなく、国を挙げた合同疫学調査チームの編成を次回は期待します。

⑥まず、2000年と2010年の口蹄疫ウイルス株は相同性が低く、同じウイルス株ではありませんでした。
 口蹄疫ウイルス感受性野生動物として、シカやイノシシが挙げられます。しかし、シカもイノシシも、2010年の血清学的調査、PCRによる遺伝子検査で全て陰性でした。イノシシは豚同様キャリアーにはならないと考えられます。
 但し、、シカやイノシシは年々増頭し続けており、今後、益々、里(農場近く)に現れることが多くなることが予想されます。

 

 口蹄疫は広い地域で流行しています。とくに、2010年には、東アジアでO型、A型が流行していました。香港、韓国、ロシアで流行していたO型ウイルスと2010年の宮崎でとれたウイルスは類似していました。このことから、海外から侵入したことは間違いないと考えられますが、その侵入経路は分かっていません。このままでは、また、いつ、同じ経路で侵入するかも知れないリスクが残されています。継続して侵入経路を探ると同時に、アジアで流行している口蹄疫ウイルスの株を把握し、そのウイルスに対する有効なワクチンを備蓄しておく必要があります。

以上、引用終わり

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※関連

口蹄疫・家畜防疫を考えるセミナー(2012年9月)
http://koji.air-nifty.com/cozyroom/2012/09/20129-e6f9.html

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