口蹄疫・埋却地の今後は?(2012年7月)
口蹄疫の非常事態宣言解除から丸2年。
殺処分された家畜が埋却された土地は3年の発掘禁止期間を経て、来年春には再度、農地として使えるようになる。宮日新聞では、それに伴う問題点などを記事にしている。
埋却地の利用 来春以降解禁
「再び農地で」9割 所有者意向 多額の整備費重荷宮崎日日新聞 2012年7月27日
2010年口蹄疫の感染拡大に伴う非常事態宣言と移動・搬出制限区域が県内全域で解除されてから、27日で丸2年を迎える。復興の歩みを進める児湯・西都など被害地域で浮上しているのが家畜29万7808頭が埋められた埋却地(計97.5ヘクタール)の再利用問題だ。
所有者の大部分が発掘禁止期間が終わる来年春以降、農地として活用することを希望するが、使えるようにするには多額の経費が掛かるとみられ、容易にはいきそうにない。
県畜産課によると、埋却地は12市町の268カ所、97.5㌶にのぼる。家畜伝染病予防法で、再発防止のため3年間の発掘禁止期間が設けられており、最も早く解禁する土地で来年4月20日になる。
地下水への影響は、川南、高鍋、都農町の計4カ所で湧き水や井戸に軽微な異臭や色の変化が確認されたにとどまり、健康被害に至るような異変はない。
大部分がかんがい施設などの基盤整備がなされた優良農地ということもあり、1月に県が所有者に対して行った意向調査では9割が「農地として再利用したい」と答えた。
川南町平田の養殖農家、江藤宗武さん(38)は牧草畑の一部10アールに埋却した。発掘禁止が解ける来年5月以降は牧草地に戻したい考えだが、埋却作業に伴って表面に石が露出。牛の分解が進み、陥没も目立つ。
江藤さんは「行政に土地を元に戻してもらわなくては、耕運機も入れられない」とこぼす。町内には埋却地約160カ所、34ヘクタールが点在。
町農林水産課の押川義光課長は再整備費用について「石がどれだけあるかで大きく変わる。県も交えて精査しているが、十数億円になるのではないか」とみる。25カ所12.3ヘクタールを抱える都農町産業振興課の荒川秀樹課長も「大量の消石灰が作物に及ぼす影響も懸念され、土質調査も必要だ」と気をもむ。
県地域農業推進課によると、耕作放棄地の場合、再整備費用は、草刈り、整地程度なら10アール当たり5万円、大規模な土の入れ替えや重機による岩の撤去などが必要なら10アール当たり100万円を超えるケースもある。
県は12日、再整備予算を来年度の概算要求で確保するよう農林水産省に要望した。同省動物衛生課は「優良農地として維持する重要性は理解しているが、現段階では検討していくとしか言えない」としており、県の要望が反映されるかどうかは不透明だ。
一方、家族同様に接してきた家畜を葬った「墓地」に手を入れることをためらう農家も。川南町平田の和牛繁殖農家、甲斐栄さん(53)は「手塩にかけた牛が眠る場所での農作業は気が重い。しばらくはそのままにしておきたい」と話す。
※メモ・独り言
・埋却地・・・12市町で268カ所 97.5ヘクタール
大部分が優良農地
・湧き水、井戸での異臭や色の変化は4カ所のみ(軽微なもの)
・埋却の際に深く掘り下げねばならなかったため、地中にあった礫や石などが地表に出ている状況。また、家畜の分解が進み土地が陥没。
・埋却地の整備事業予算を求めているが、農水省は「検討していくとしか言えない」
復興は進んでいるように見えるが、まだまだ課題は多いということか。
優良農地が多いだけに、このまま耕作放棄地にしてしまうのはもったいない。
しかし「墓地」として残しておきたいという気持ちもわかる・・・。
埋却地周辺での湧き水、井戸水などへの影響が殆ど無かった様でなにより。
当初は掘ると水が出たりで水質への影響など心配されたが、きちんとした丁寧な埋却作業が行われた結果だと思う。
あらためて作業に当たられた関係者に感謝。
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