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2012/04/22

口蹄疫・発生から2年(2)

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宮崎日日新聞では、4月20日を「口蹄疫を忘れない日」と提唱している。

紙面には、宮日が募集した読書感想文の受賞作品を載せ、その選考にあたった永山県畜産・口蹄疫復興対策局長、元日南市教育長の松田さん、後藤義孝宮大農学部教授、JA宮崎中央会常務の見戸さんの座談会も。

また広告欄は、JAと宮崎県のもの。

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日本農業新聞は、全国で導入が進んでいる家畜防疫システムの紹介。

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家畜防疫へ連携強化 口蹄疫発生から2年
    本県など9県が覚書  県「農家再開を支援」

宮日 2012年04月20日転載(改行等加えた)

 県内で29万7808頭の牛や豚などが犠牲になった口蹄疫の感染疑い1例目確認から、20日で2年を迎えた。

 本県を含む九州、沖縄、山口の9県は新たに家畜防疫の連携強化に関する覚書を締結。県は県内すべての農場の位置、飼育頭数、埋却候補地など網羅した家畜防疫情報システムの稼働を控えるなど、初動防疫態勢を強化する動きが県内外で広がる。

 一方、ウイルスの侵入経路が不明なままであることへの不安や高齢化を背景に、家畜を殺処分した農家の経営再開は県の調べで6割に満たない。

 9県の防疫に関する覚書では、口蹄疫が疑われる検体を国の検査施設に送付した段階で当該県が状況を他県に報告、家畜防疫員を相互派遣することなどを取り決めた。締結は今年2月17日付。県はこれとは別に鹿児島、熊本、大分の3県と口蹄疫発生時の県境の消毒ポイントの効率的な運営についても検討する。

 家畜防疫情報システムは、県が県内全農場8789戸を巡回調査し集めた情報を基に構築された。農場所在地などを入力すれば、飼育頭数や埋却候補地のほか、周辺の消毒ポイント予定地などが一覧でき、今月中の稼働を目指す。

 口蹄疫の本県への侵入経路を解明する新たな動きはみられない。国は今後予定している感染実験の結果を受けて疫学調査の最終報告をまとめる方針だが、新たな見解は追記されない見通し。

 宮崎大は3月に招聘(しょうへい)した疫学の専門家らを中心に、児湯・西都地域内での感染の広がりを調べるシミュレーションを作成する予定。今夏には研究者を再度、英国の研究施設などに派遣することにしている。

 本県畜産の新生に向けた動きも本格化する。県は17日、昨年5月に策定した工程表の改定素案を公表。畜産の新生に向けた取り組みとして、適正な飼育密度の実態調査などを行った上で、ガイドラインの改定なども行う。

 2010年9月の日向市を皮切りにスタートした被害農家(1238戸)の経営再開は、11月末現在で59%に当たる732戸に留まる。
 廃業を検討しているのは371戸で3割を占める。

 高齢化や環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題など、厳しさを増す経営環境が背景にあるとみられる。

 河野知事は「農家に寄り添って、再開意欲を持つ農家をサポートする態勢をつくっていきたい」と話している。

「畜産新生」へ動き加速 健康志向、赤味肉挑戦も

宮日 2012年04月20日付転載(改行等加えた)

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 口蹄疫発生から2年を迎える中、県は今月24日に改訂予定の再生・復興の工程表に「本県畜産の新生」を項目として盛り込んでいる。飼料高や他県との競争激化など厳しさを増す経営環境を乗り切りながら、疾病にも強い全国のモデルとなるような畜産経営の姿を模索する動きを加速させるのが狙いだ。

 多様なニーズを踏まえた食肉生産のあり方の検討を明記した県の工程表改訂版。素案が示された17日の会議に出席した関係者は「本県に来る観光客は年配の人が多く赤身の牛肉が食べたいという声がある」と求めた。

 牛肉の価格は「日本食肉格付協会」が定める1~5等級の「格付け」で決定される。
 この格付けを左右するのは脂肪交雑(サシ)の量で、本県の「宮崎牛」も4等級以上の物に限られる。

 ただ、近年は健康志向の高まりで、全国的に赤身が売りのブランドが台頭。長野県の「信州プレミアム牛肉」などのように特定のうま味成分をブランド認証の基準にする産地もあり、口蹄疫が集中した児湯・西都地域では、赤味肉のうま味を重視したブランド牛づくりを模索するグループもいる。

 宮崎大農学部の入江正和教授(動物生理生化学)は「流れが変わり始めている。『売る仕掛け』さえつくれば赤身も挑戦する価値がある」と期待する。

 県が新生のもう一つの柱に位置づけるのが食品残さを再利用したエコフィードの普及だ。
 川南町川南の養豚農家、遠藤太郎さん(34)は地元で調達した飼料用米に加え、パン粉などをリサイクルした飼料を試験的に給与。地域内循環を売りにした豚肉のブランド化と合わせ、将来の飼料価格高騰を見据える。

 遠藤さんは「肉質に及ぼす成分の検査費用などに支援があればもっと取り組みやすくなる」と指摘する。

 また、県は昨年度、国の補助事業の基準を用いて農場内の飼育密度に関する暫定的なガイドラインを策定。本年度は県内の飼育実態を踏まえた独自の基準作りや、地域内の農場の密集の解消という積み残した課題にも取り組む。

 県畜産・口蹄疫復興対策局の永山英也局長は「農家の経営を阻害することのないよう『新しい畜産』の可能性を探りたい」と話す。

民間の協力不可欠 農水省が呼び掛け 要員確保で課題も

日本農業新聞 2012年4月20日付転載(改行等加えた)

 農水省や指導機関は、家畜防疫の徹底を呼び掛けている。

 同省は1月30日から2月30日に全国で実施した口蹄疫の防疫演習の結果を基に、発生時に協力が必要な民間企業との連携強化などを指導する。

 演習では口蹄疫を疑う患畜が出たと想定し、47都道府県が立ち入り検査から口蹄疫の特定、初動防疫に必要な態勢づくりなどを検証。

 さらに、感染の有無を特定するために感染が疑われる牛の写真データを同省に送り、判定するまでの一連の作業を実施した。

 演習では各都道府県が発生農場の住所、畜種、頭数などを把握。
ただし、2年以上前の古いデータを使っていたケースがあった。

 初動態勢の構築では、消毒ポイントの設定で畜産関係者車両の通行量を考慮したのは、10年10月実施時には19%だったが、今回は69%と大幅に改善。
また65%の消毒ポイントは車両消毒に必要なスペースなどが確保できることも確認した。

 ただし、市町村や道路管理者と協議が住んでいるのは15%で、多くは実際に消毒ポイントの設置が可能かどうかを関係機関と詰める必要がある。

 発生農場での殺処分、関連農場の全戸立ち入り検査、半径10キロ以内の大規模農場の立ち入り検査などは予定通りのスケジュールで完了。

 演習で実際に必要な防疫の流れや人員数が分かったが、防疫要員の確保などで課題が見られた。

 同省は「防疫の現場では、重機などを調達する建設協会など民間の協力が不可欠。演習の結果を基に、関係者に防疫の重要性を理解してもらい、万が一に備えた実効性の高い体制にしてほしい。」(動物衛生課)と話す。

[宮崎口蹄疫2年] 懸念される教訓の風化
南日本新聞( 4/21 付 )社説

 宮崎県で家畜伝染病・口蹄(こうてい)疫の発生が確認されてから2年が過ぎた。昨年末時点で被害農家のうち経営を再開したのは59%にとどまり、30%は廃業を検討しているという。

 2010年4月20日、都農町で感染疑いのある牛が見つかったのが始まりだった。感染は、8月27日の終息宣言まで最終的に5市6町に拡大し、牛や豚約29万8000頭が殺処分に追い込まれた。

 県は観光などを合わせた被害額は県全体で約2350億円と試算する。県予算の約4割に相当する額である。10年の農業産出額のうち畜産部門で3位を誇る国内有数の畜産県の被った痛手は計り知れず、本格復興の道はなお険しい。

 殺処分を行った農家1238戸のうち昨年末現在で経営再開したのは732戸で、今後再開予定を合わせても全体の67%にとどまる。高齢化や餌代の高騰など畜産を取り巻く状況が厳しいことに加え、防疫強化対策の負担が大きいことなどが原因だろう。

 宮崎での口蹄疫被害拡大について、農水省の対策検証委員会は最終報告で「防疫訓練の実施による日常的な予防や初動対応に不十分なところが多かった」と、県の対応の不備を指摘している。

 県は昨年5月に策定した再生・復興のための方針工程表で、家畜防疫員の増員など防疫体制の強化を最優先に打ち出した。

 全市町村を対象にした防疫演習を繰り返しているほか、空港やホテル、ゴルフ場などとも防疫協定を結び、消毒方法を指導している。県ぐるみの再発防止体制を緩めてはならない。

 口蹄疫は、今年も中国や台湾など近隣諸国で発生が相次いでおり、油断できる状況にはない。今後も防疫演習や、農場での消毒作業に力を入れていくべきだ。

 口蹄疫は、鹿児島県と県境を接するえびの市や都城市まで拡大したが、鹿児島県側の官民一体となった迅速な防疫作業で、県内への侵入を防ぐことができた。

 本年度は県境の幹線道路沿い8カ所に常設の車両用消毒ポイントを整備する。初動体制のさらなる充実が望まれる。

 懸念されるのは、時間の経過による教訓の風化である。

 防疫体制強化の一方で、宮崎県の担当者は「2年が経過し、関係者の防疫意識に微妙な温度差が生じている。この落差をどう埋めていくかが課題だ」と指摘する。

 口蹄疫が地域経済に与えるダメージは甚大だ。万が一発生した場合に備えた緊張感を維持しておく必要がある。“畜産王国”南九州として意識を新たにしたい。

生産力上げ畜産「新生」 宮崎県、口蹄疫確認2年

2012年4月21日 00:14 カテゴリー:社会 九州 > 宮崎

 宮崎県で牛や豚など約30万頭を殺処分した家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)の確認から20日で2年。防疫体制の再構築が進んだ一方で、厳しい経営環境の中で「畜産王国」の再建は遅れている。県は復興計画を見直して「畜産の新生」を打ち出し、収益性の高い経営で全体の底上げを図る。

 県は昨春、2013年度までの3年間で復興を目指す工程表を策定。初年度は防疫マニュアルを全面改訂した。全農場を巡回指導し、所在地や飼育方法などのデータをまとめたシステムを構築。感染した家畜の埋却地は95%の農場が確保し、公有地もリストアップしている。空港・港湾の水際消毒体制も整えた。

 20日は都城市の農場で口蹄疫が発生したとの想定で防疫演習を実施。産学官の約240人が参加し、情報伝達、消毒ポイント設置など初動対応の流れを確認した。

 「新生」の柱になるのは生産性の向上。飼育環境を改善し、牛の出産間隔(平均414日)を365日に短縮。豚の出産頭数は1・26倍にする。従来の霜降り重視の牛肉生産に加え、近年の健康志向に応える「赤身」のブランド化もにらむ。河野俊嗣知事は「単に元に戻すのでない。『新生』に向けて具体的な施策を急ぎたい」と話し、24日の県復興対策本部会議で工程表を改訂する方針。

 口蹄疫は10年4―7月に292例を確認。被害農家の再開率は59%、頭数ベースでは56%(いずれも11年12月末現在)。

=2012/04/21付 西日本新聞朝刊=

防疫効果は 悩む農家 口蹄疫発生から2年

朝日新聞 マイタウン 宮崎 2012年04月21日

   2010年の口蹄疫(こう・てい・えき)の最初の発生から20日で2年となった。県はこれまで、農家の防疫意識が緩まないよう、毎月20日の一斉消毒や海外などでの発生を知らせる電子メールで啓発を続けてきた。ただ、感染経路は特定に至ってない。

 「なぜ起きたかを究明しないままだと、同じことを繰り返すことになる」と、農家は指摘する。

 
「本当に効果があるか分からず、ついおろそかになりがち」。13日にあった生産者の代表らを対象にした県の家畜防疫研修会で、宮崎家畜保健衛生所の岩田宏美技師は農家の気持ちをこう代弁した。

 国が定める家畜の飼い方の基準は昨年、口蹄疫を受けて畜舎と居住スペースを分けることや牛や豚などの種類別の項目を盛り込んで改正された。

 県は昨年度、初めて約9千戸の牛や豚を飼うすべての農場を巡回し、調査。県畜産課によると、畜舎などがあるため部外者の立ち入りを制限する衛生管理区域に出入りする車両の消毒が不十分だったり、区域を知らせる看板がなかったりする不備が目立ったという。今年度は、不備があった約3千戸の農家の取り組みを重点的に確認する。

 県は、水際、農場の入り口、そして万が一感染した場合の早期対応の三段階で防疫に備える。県内の空港や港でウイルスの侵入を防いでも、県外から伝わる可能性はゼロではないため、農場での防疫が「自分の家畜を守るための自衛手段」と説明する。

 だが、ワクチン接種後に牛86頭を殺処分された川南町の染川良昭さん(59)は「感染原因を突き止めることが大前提。農家は自分の農場は最低でも守る意識はあるが、県に徹底した姿勢が見えないまま、必要な作業だけが増えるのでは行政を信用できなくなる」と苦言を呈する。

 宮崎大学農学部の後藤義孝教授(獣医微生物学)も「行政は、単に防疫を呼びかけるのではなく、農家が消毒のコツを実演で学べる場を設けるなど、やる気を引き出す工夫をしてほしい」と話す。(北村有樹子)

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