安愚楽牧場・関連報道 10/24
久々に安愚楽牧場関連記事。
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配当捻出へ自転車操業 安愚楽牧場破綻宮崎日日新聞 2011年10月24日付転載(改行等加えた)
「都会と農村を結ぶ」との高い理念を掲げて約30年間にわたり和牛オーナー制度を運営した安愚楽(あぐら)牧場(栃木県)は、直前までオーナーと呼ばれる出資者への配当が滞ることはほとんどなかったのに、突然4300億円もの負債を抱えて破綻した。
取材に応じた複数の安愚楽関係者の話からは、これまで表に出てこなかったずさんな経営実態が浮かび上がる。
▽経営感覚の欠如
「利益を出さねばならないはずの畜産部門に経営感覚がなく、足を引っ張っていたことが一番の問題」。社内の事情に詳しい関係者が明かす。
和牛オーナー制度は出資を募る部門と、牛の繁殖、肥育、販売を担当する畜産部門が〝車の両輪〟とされる。ところが長年勤めた人々の話を総合すると、畜産部門は赤字続きだった。「牛は販売価格の変動が大きく、採算割れの年が多かった」。現場でも採算性を軽視した牛の管理や預託農家への依存などで「コストがかかりすぎ」と指摘されていたという。
一方、右肩上がりに契約額を増やしていたようにみえるオーナー部門の弱点は「風評」だった。
会社に対するマイナスイメージの報道や、牛海綿状脳症(BSE)など牛のトラブルが明るみに出る度に「巨額の解約が一度に来た」。
その返金や配当を捻出するため、新規の出資を募ったり、出荷適齢期前の牛を損失覚悟で安値で出荷したりして調達。満期を迎えるオーナーには、別のプランへ継続出資させて資金の流出を防いだ。
根底には、一度でも配当や返金が滞れば解約が相次いで破綻するとの懸念があったという。元幹部は「常に目先の資金繰りが第一で、自転車操業状態だった」と振り返る。
▽「個人商店」
「ろくに役員会を開かず、詳しい経営状況を知っているのは幹部でも一握りだった」
元社員は、会社が大きくなっても組織の実態は「個人商店」だったと指摘する。「トップに嫌われると管理職でも降格や、九州から北海道への移動というのもあり、辞める人が多かった」という。
こうした構造的な問題に、口蹄疫や東京電力福島第1原発事故などの外的な要因が追い打ちを掛けた。
「宮崎の口蹄疫では最終的に100億円程度の補償金を得たはずだが、原発事故が起きて解約申し込みが殺到した。実権を握っていた幹部も『もうだめだ』と思ったはず」
それでも民事再生法の適用申請直前の7月中下旬、オーナーの一部に半年で8%相当の配当が得られる「肥育牛売買コース」を募集。営業部門ではなく、事情をよく知らない事務職員らが勧誘にかり出され、マニュアルに沿って対応した。
関係者は一様に「経営が悪化していたのは明らかで、非常に悪質」と口をそろえ、憤りを隠さない。
安愚楽牧場と未払い金交渉へ沖縄タイムス 地域 社会
2011年10月24日 09時40分 (11時間50分前に更新)
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-10-24_25135/【石垣】「和牛オーナー制度」が行き詰まり、民事再生手続き中の畜産会社安愚楽(あぐら)牧場(栃木県)に対し、石垣市内の農家7人が23日、未払いとなっている繁殖牛の預託料の支払いなどを求め、預託農家弁護団(代表・柿内弘一郎弁護士)に交渉を委任することを決めた。未払い預託料は、1農家当たり約1千万円~数百万円に上っている。
県内では、石垣市や伊江村などで農家12戸が約3800頭を飼育している。農家らによると、預託料は6月分の半額と7月分が支払われていない。8月以降は、同社への借り入れと相殺する形で支払われているという。また、同社が預託料を抑えようと種付けを禁止しており、雌牛の受胎能力の低下が懸念されている。
同日、市内で開かれた柿内弁護士による説明会で、農家側は「石垣の牛は全て繁殖牛。発情期に受精させないと治療が必要になるため、受精禁止はもってのほか」「畜舎や機械へ投資してきて、ほとんどの牧場がぎりぎりの運営。金融機関も話を聞いてくれない」などと訴えた。
同弁護団は九州地方の農家20人の委任を受け、肥育料の支払いや、牛の預託業務の継続などを求め同社に意見書を提出している。
※メモ
沖縄タイムスの記事内に出てくる「柿内弘一郎弁護士」は、鹿児島で設立された安愚楽預託農家弁護団の代表。先日は大分県でも相談会を開いている。
宮崎の預託農家がどうなっているのか、未だ不明。
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