口蹄疫:末吉益雄准教授に聞く(宮日 H23年4月20日)
防疫レベル向上必要 末吉益雄准教授に聞く
宮崎日日新聞(2011年4月20日付)
口蹄疫発生から20日で1年となった。宮崎大農学部の末吉益雄准教授(家畜衛生学)に、県内の家畜防疫や水際対策、諸外国の口蹄疫対策などについて聞いた。(聞き手 口蹄疫取材班・草野拓郎)
------発生から1年。県内の防疫の現状をどうみるか。
末吉 まだまだ牛と豚の畜種間で、防疫に対する意識の差は大きい。県の家畜防疫員が大規模農場を立ち入り検査しているが、小規模な農場まできめ細かな指導が行き渡ることが最も重要。普及員なども協力して、全体の防疫レベルを上げなければ。一案だが優秀な衛生管理農場を選んで表彰すれば農家のモチベーションも上がるのではないか。
-----近隣国での発生が続く。韓国では移動制限が解除されてからわずか2週間で、豚で再び発生した。
末吉 今年に入り2度、韓国の防疫状況を視察したが、清浄化されたわけではなくワクチン接種で発生が沈静化していただけ。ワクチンを2回接種したにもかかわらず、発生したということは効果が小さいのかもしれない。発生がまだ確認されていない南部2地域でも全頭にワクチンを接種したが、ここは養豚の一大産地で拡大が心配だ。県内の農家は農場へのウイルス侵入防止に気を引き締めてほしい。
-----家畜伝染病予防法の改正では予防的殺処分も規定されたが、同じ規定のある韓国では感染拡大を防げなかった。
末吉 発見が遅れた上、初発が豚だったことが大きい。冬場の発生で消毒もうまくいかないまま、北朝鮮の延坪島砲撃事件への対応で、迅速な殺処分が必要な時期に軍隊の応援が得られなかったことも一因といわれている。国内では東日本大震災にマンパワーが集中しており、家畜伝染病の大規模発生で応援は得にくい状況だ。そういう意味でもまずは発生させないことが大事だ。
-----法改正には、指針作成や改訂では最新の科学的知見を反映するとの一文が盛り込まれた。
末吉 オランダやイギリスなど口蹄疫を経験しているヨーロッパ諸国も訪れたが、各国とも家畜を生かすワクチンの使用法を検討している。例えば、オランダは家畜の種類や頭数に経済被害なども加味して接種区域を想定している。ワクチン接種後に感染していなければ食肉処理する方針だ。また、オランダは国土の多くを海抜0メートル以下が占め埋却には適さない。2001年の発生では密閉型のトラックで運搬するなどし、26万頭すべてを化成処理した。日本でも埋却が困難な場合はある。このような最新の状況を踏まえ、経済的・精神的な被害を最小限に抑えられるよう検討するのは国の役割だ。
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