牛肉の脂の質の話
▲食事中
牛の肥育期間とお肉の関係の話(3)を書く前に、やはり脂質のことを書いておかねば、と思います。
牛肉(特に黒毛和牛)の美味しさの秘密って何だろう?って話になると、よく言われるものには
・とろけるような柔らかさ
・えもいわれぬ芳香
・肉の持つ甘み
ってのが、挙げられます。
この3つを作るのは「脂」だと言われています。
良質な脂が、肉に与える影響は大きいようです。
肥育期間の長い牛のお肉は、脂の質が良いってことは肉屋さんや卸屋さんなど市場関係者の間では共通の認識みたい・・・・って話を書きました
(参照:牛の肥育期間とお肉の関係の話(2))
では、良質な脂ってどんな脂?
肉の仕事に携わる人達の言葉として、よく耳にしたり目にするのが
・純白よりもクリーム色がかったもの
・硬いものより、柔らかいもの(ただし柔らかすぎるものはダメ)
・融点の低いもの
こういった脂の枝肉を良い肉だと言い、実際、彼らは好んで購入していきます。
で、そんな脂質の秘密を解き明かそうと、色々な人が研究してるわけですが・・・・
脂肪を構成するものに、脂肪酸というものがあります。
脂肪酸はさらに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。
この不飽和脂肪酸の量は、牛肉の「おいしさ」に深く関わっており、
不飽和脂肪酸を多く含む脂肪は柔らかく、風味も良くなるといわれています。
宮崎大学農学部 入江正和教授は次の様なことを書かれています
サシがあるからといって美味しいわけではなく、そのサシがある程度低い融点を持っていることが重要
かつ融点が低くてもリノール酸が多く含まれているサシは美味しくない。
多価の不飽和脂肪酸であるリノール酸などが風味を落とすのに対し、1価の「オレイン酸」は風味を増す。
兵庫県の畜産技術センターの研究リポートによると
不飽和脂肪酸のうち二重結合を一つ含むものをモノ不飽和脂肪酸(MUFA)、二つ以上含むものを多価不飽和脂肪酸という。
一般に脂肪酸の融点は、炭素数が増すと高くなり、二重結合の数が増すと低くなる。したがって脂肪酸の構成によって脂肪の融点が異なる。
融点は口溶け、なめらかさ、こくなどの食味に影響し、オレイン酸などのMUFAの割合が多いと風味が良いと言われる。
要するに・・・・・・
牛肉の脂の美味しさを決める要素のひとつにはMUFA、中でも「オレイン酸(C18:1)」の数値が重要
・・・・・ってことになってるみたいです。
もうひとつの「飽和脂肪酸」の中で、忘れてはいけないものに ステアリン酸 ってヤツがあります。
このステアリン酸、コレステロールを上げるとか言われたりもしていますが・・・・
これの多く含まれた枝肉では、
・脂肪の色が真っ白
・融点が高い
しかしながら、脂の白と肉の赤が際立ち、カチッとした美しい枝肉断面になるって話もあるようで・・・・
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
来年開かれる第10回 全国和牛能力共進会(和牛全共)では、食肉脂質評価の審査も行われます。
オレイン酸を含む「一価不飽和脂肪酸」の数値の利用を想定しているらしいです。
それに先立ち、第9回和牛全共では「脂質の賞」が設けられましたし、各地で行われている枝肉共励会でも
「この枝肉の脂はすごいで賞」 (正式名称じゃないですよ
)
みたいなのを作ってるブランドもあるようです。
また「信州プレミアム牛」、「鳥取オレイン55」といったオレイン酸数値を売りにしたブランドも出てきているのはご承知のとおりです。
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実際に、オレイン酸数値で賞を貰った枝肉を購入したバイヤーさんに聞くと・・・・・
「やっぱ、(旨さは)オレイン酸だけじゃないよ」
なんて答えも返ってくるわけですが(笑)






























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