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2011/04/23

口蹄疫・「口蹄疫から1年」関連新聞記事ほか

消毒訓練や初動確認 県内、発生から1年

宮日(2011年4月21日付)


 本県の畜産や経済に深刻な打撃を与えた口蹄疫の発生から20日で1年を迎えた。5市6町で29万7808頭(牛6万9454頭、豚22万7949頭、その他405頭)を犠牲にした反省から、県内では車両の消毒訓練や初動防疫態勢の確認、被害農家が主催するフォーラムなどがあり、再発防止への誓いを新たにした。また、韓国など周辺国では口蹄疫がまん延しており、県はあらためて防疫徹底を呼び掛けている。


 県は前日の防疫実働演習に続き、3カ所で車両消毒の訓練を行った。生目の杜運動公園駐車場(宮崎市)と県立農業大学校(高鍋町)では畜産関係車両47台を動力噴霧器で消毒し、乗務員の靴底消毒も実施。同市有田の県道では路面に薬剤を流し、全車両を消毒した。

 同日は毎月20日の「県内一斉消毒の日」。この消毒活動を終え、消毒ポイントで車の消毒を受けた同市金崎の和牛繁殖農家、冨永康彦さん(43)は「防疫を徹底し、二度と被害を繰り返さない」と話していた。

 また、都農町は県の新たな防疫マニュアルと町独自のマニュアルに沿って、初動防疫態勢の訓練を実施。町やJAの職員、建設業者が参加し、関係機関との連絡や消毒ポイントの設置、農家への情報伝達を確認した。川南町では被害農家の団体がフォーラムを開催。今後の畜産復興や防疫の在り方を考えた。

 食肉加工・販売のミヤチク(都城市高崎町)は口蹄疫の反省を業務に生かす研修会を宮崎市で開いた。グループ社員約700人が黙とうし、殺処分された家畜の冥福や畜産復興を祈願した。同社の長友和美副社長は「傷痕はいまだに深く、まだ牛、豚の食肉処理頭数は元に戻らないが、農家と共に困難を乗り越えよう」と鼓舞した。


収入見通せず不安も 口蹄疫から1年

宮日(2011年4月20日付)

 口蹄疫の発生から20日で1年を迎えたが、家畜を殺処分された農場の約半数が経営を再開していない。終息直後に県が公表したアンケート調査では8割が再開の意思を示していただけに、口蹄疫が残した爪痕の深さが浮き彫りになった。再開を断念した農家からは「牛を守りきる自信がない」と悲痛な声も。農家の苦しみを知るJAは「一歩踏み出せるよう後押ししたい」と決意を新たにする。

 JA尾鈴の松浦寿勝畜産部長は「昨年11月末に韓国で口蹄疫が発生して以降、TPP(環太平洋連携協定)、飼料高騰と気持ちのなえることが続き、再開を先に延ばした人も多い」と明かす。

 都農町で和牛繁殖を営み、60頭を殺処分された50代男性は、無利子貸し付けの返済期間が短いことや子牛価格が高いことなどを理由に、3月に予定していた再開を6月に延期。男性は「収入安定に5年はかかる。返済期間の長い資金を借りようと考えているが、元の頭数には戻せないだろう」と語る。

 東児湯地域の養豚農家男性は「TPP次第では海外から安い豚肉が入ってくる可能性もあり、設備投資を回収できる見通しが立たない」と不安を口にする。

 心の傷が癒えぬまま再開を断念する人もいる。木城町椎木の小泉正浩さん(50)は昨年8月末の県アンケートで経営再開について「わからない」と回答。しかし、発生から1年を迎えても感染経路が究明されず、悩み苦しんだ末に「牛が好きだからこそ再開できない。牛への罪悪感も募り、次に発生しても守りきる自信がなかった」と再開をあきらめた。今後は畑作で生計を立てる考えだ。

 経営再開の遅れは、周辺にも暗い影を落とす。JA尾鈴によると、和牛の人工授精の依頼は現在、1日十数件で例年の4分の1程度。治療の機会が多い子牛や子豚がほとんどいないため、開業獣医師の収入も激減したままだ。

 JA尾鈴は再開を迷う農家に各生産部会の研修や競り市への参加を呼び掛けている。松浦部長は「農家が一歩踏み出せるようにさまざまな面で後押ししたい。年内に7割程度の農家の再開を目指したい」と力強く語る。

再発防止へ教訓生かせ    官民の役割 再確認望む

宮崎日日新聞 4月20日 解説

 本県だけでなく日本の畜産業を揺るがした口蹄疫の発生から1年。国は家畜伝染病予防法(家伝法)を改正し、県は新たな防疫マニュアルを作るなど、反省や教訓が反映されつつある。しかし、依然として中国や韓国など発生国に囲まれた状態は続く。この4月20日は危機感を維持するための日に位置付け、農家、行政、消費者がそれぞれの役割を再考し、日債権として先進的な取り組みを継続する機運を高めなければならない。

 再発防止へ向けた法的、制度的な環境整備により、もはや衛生面を軽視した畜産経営は存続しない。県の新マニュアルは農家の新たな役割として、農場の人・モノの出入り記録を保存しておくよう求める。感染源・経路の究明に資するものであり、重要な意味を持つ。農家には感染の早期発見も期待されており、口蹄疫に対する知識の蓄積も進めなければならない。

 改正家伝法で消毒設備の設置が義務化されるなど農家の負担は増した。消費が先細り、飼料が高騰する中、衛生経費の確保に悩む農家も出てくるだろう。行政は、これらの諸課題を農家任せにせず、着実に解決する責務を負う。

 また、県が口蹄疫からの再生・復興方針の柱とする「産地構造の転換」は、県内の畜産密度を下げるため、畜産から畑作や園芸への転換を進めるものだが、具体的な道筋が見えない。経営を再開した農場が半数にも満たない現状も踏まえ、実効性の高い工程表が待たれる。

 行政については、発生時の対応に目が向きがちだが、行政獣医師が畜産農家に立ち入り、飼養衛生管理基準の順守を指導する日常業務を基本にした備えも重要。そのための人員拡充や水際対策の強化が望まれる。

 「畜産を守る」という点で消費者も役割を果たせる。欧米では家畜のストレスや苦痛を避ける「アニマルウェルフェア(動物福祉)が浸透。健康な家畜を育て、疾病に強い産地づくりにつながっている。値段、産地、肉質等級とは異なる選択基準として日本の消費者も取り入れたい。

 安さのみで選ぶ消費行動は、農家の衛生コスト減、多頭・密集飼育を強いる要因にもなりかねず、適正な対価を支払う流れをつくることも重要だ。同時に、畜産県の県民として、水際対策や発生時の車両消毒に協力を惜しまない意識の持続が求められる。
              (口蹄疫取材班・野辺忠幸)

口蹄疫から1年

宮崎日日新聞 社説 2011年04月20日

忘れずに語り伝える努力を

 本県を揺るがした口蹄疫の発生から20日で1年になる。

 見えないウイルスの拡散に怯(おび)え、恐れ、打ち砕かれ、畜産農家ばかりか県全体が多大な経済的損失を被った災禍について、もう一度検証する区切りである。

 家畜を殺処分された農家のうち、49%(14日現在)が経営を再開したという。前向きな気持ちになれる数字だ。だが裏返せば、まだ半数が再開できていないということになる。復興は緒に就いたばかり、まだまだ長い時間を要す。

■完全無欠あり得ない■

 再発防止や、もしもの発生に備えて、内容を全面改訂した「口蹄疫防疫マニュアル」を県が公表した。県口蹄疫対策検証委員会の指摘や家畜伝染病予防法の改正を踏まえて全5章、A4判220ページで構成するものだ。

 近隣諸国での未発生時から本県での発生時までフェーズ1~5に区分し、必要な防疫措置を規定。隣県発生時(同4)は県境沿いに消毒ポイントを設置、畜産農家には不要な外出を控えるよう求める。周辺住民への注意を喚起するため、県内の発生農場は原則、地番を公表。検査機関に検体を送付した段階で、農場のある市町村を公表するなど情報公開の迅速化も図る。感染確定から殺処分終了までを24時間と想定したタイムスケジュールも示している。

 第5章の詳細マニュアルでは、昨年の殺処分や埋却作業の手順、埋却地への環境対策など発生県ならではの情報も盛り込んだ。

 だが、完全無欠なマニュアルなどあり得ないということを肝に銘じたい。今後、考案されるウイルス対策なども柔軟に織り込み、口蹄疫を農業者の問題と限定せずに県民みんなで悲劇の再現を防ぐという意識も強めたい。

■消費者は食べる人?■

 災禍を忘れず、語り伝える努力も怠ってはならない。昨年の口蹄疫発生時、殺処分した牛、豚の埋却地選定が難航するという地域があった。例えば和牛繁殖農家11戸すべてがワクチン接種後に牛を殺処分された都農町長野地区。だが、感染が広がるにつれ、住民たちは畜産への理解を深め、輪番制で車両消毒に当たるなど意識に変化が生まれたという。

 このことから、JA尾鈴肉用牛繁殖部会長野支部の黒木晶樹支部長は「農業をするには住民の理解が不可欠。口蹄疫は畜産、農業が地域や県民と共存できるきっかけになった。だからこそ、経験を語り継いでいかなければならない」と考えるようになった。同感である。その考えを土台に、農家は作る人、消費者は食べる人という垣根を取り払い、食料生産県の県民という共通認識を広げたい。

 早くも一斉消毒日の不徹底や公共・商業施設入り口に設置してある消毒マットが乾いたままになっているケースがあるという。わずか1年で記憶を風化させているようでは、ウイルスの跳梁跋扈を(ちょうりょうばっこ )再び許すことになる。


口蹄疫から1年  危機管理体制の維持を

日本農業新聞 論説  2011年04月20日

 宮崎県で口蹄疫の発生が確認されてから、ちょうど1年がたった。終息まで足掛け4ヶ月かかり、殺処分した牛、豚は役0万頭。生産者と関係者の尽力でまん延を何とか県内で食い止められたが、わが国の畜産業が経験したことがない大災害となった。畜産業復興まではまだまだ多くの政策的支援も必要だ。一方で多くの反省材料と教訓を残した。二度と引き起こさないように、これらを生かし常に緊張した危機管理体制を取り続けたい。

 口蹄疫にかかる動物は牛、豚などの偶蹄類で、そのウイルスは感染力が強く、畜産業に経済的大損失をもたらす。わが国では明治時代に発生を見たきり、ずっと清浄国を維持してきた。ところが、11年前に宮崎県と北海道で92年ぶりに発生した。この時は、早期発見と家畜の移動禁止などの初動対策で740頭の殺処分で終息した。

 これに対して、今回の殺処分頭数は前回の400倍で、宮崎県内の経済被害額は2350億円という大災害となった。ここまで被害が拡大したのはなぜなのか。また、その感染経路の解明などが専門家によって検証された。

 1つは国が昨年11月にまとめた口蹄疫対策検証委員会報告。それによると、国と県、市町村の役割分担の不明確さや連携不足に加え、緊急ワクチン接種のタイミングの遅れ、特に発見の遅れや通報の遅れが感染を広げてしまったという。

 また、宮崎県は独自に口蹄疫対策検証委員会を設置、1月に詳細は調査報告書をまとめ、公表した。「二度と同じ事態を引き起こさないための提言」と副題をつけ、多くの教訓を引き出している。

 その中では、10年前の危機意識がいつのまにか風化し、近隣国での発生に対する危機意識がなかったことを反省点として挙げる。

 一方で、口蹄疫の感染源については、国や宮崎県でも検証し絞り込まれていはいるものの一致はしていない。どのような経路なのかは、今後の対策にとって大変重要なことであり、宮崎県の報告書は「国は初発農場についての科学的な検証が可能となるよう」、検査や検体の採取に関する新たなルール作りを求めている。こうした疫学調査の精度向上も今後求めていかなければならない。

 今回の口蹄疫で家畜伝染病予防法も改正された。殺処分される患畜・擬似患畜の全額補償や、早期発見のための一定の症状を示した場合の届出義務などだ。通報などの防止措置を怠った場合は、補償額の減額や未交付もある。

 宮崎県がまとめた教訓や法律改正など、万全とまではいかなくとも対策は大きく前進した。各都道府県はあらゆる想定を行い、万が一発生しても、短期間に封じ込めなければいけない。生産者も飼養衛生管理基準の順守など緊張感を持った管理が求められる。


畜産王国、復活険しく  飼育再開の農場、半数どまり
   採算性や防疫 懸念尽きず

日本経済新聞  九州版  


 宮崎県内で猛威を振るった家畜伝染病の口蹄疫の発生確認から20日で1年。牛や豚の全頭殺処分は1270農場の計約30万頭に及んだが、飼育を再開したのは半数の626農場止まり。飼育頭数も2万頭余りにとどまる。”畜産王国”の復興への道のりはなお険しい。

 「2014年に飼育頭数が元通り回復する計画だが・・・・・」。県内11市町で殺処分した家畜のうち、半数以上を占めた最大被災地の川南町。牛、76頭を殺処分した繁殖農家、江藤宗武さん(37)の表情には、再開の喜びと将来への不安が入り交じる。

 昨年11月に雌牛11頭の飼育を開始。夏以降は子牛が続々と生れ、数を増やしていく計画で、12年初夏からは一部の子牛をセリに出す予定だ。ただ「計画通りに行くか心配」と漏らす。

 畜産事業者が先行きを懸念する材料は多岐にわたる。韓国での口蹄疫再発や、環太平洋経済連携協定(TPP)の行方。さらに、飼料高騰や枝肉価格の低迷、県有種牛の55頭から5頭への激減による種付けの不安----------など枚挙にいとまがない。

 「再開の意思はあるが、再三の見通しが立たず踏み切れない」。川南町の別の繁殖農家は再開を見送る考えだ。「感染経路が判明しないまま再開するのはリスクも大きい」という。加えて、畜産経営を軌道に乗せるには数年が必要になることから、「高齢化や後継者不足で断念する農家も少なくない」と県やJA関係者は説明する。

 牛の繁殖から精肉出荷までを手がける有田牧畜産業(西都市)は将来への不安を抱えつつも再開を推し進める。3200頭を殺処分したが、牛の購入を積極的に進め、2800頭程度に回復。有田米増社長は「従業員の生活を考え早く再開したかった」と話す。

 養豚業界も再開が遅れている。豚舎の豚は通常、年3~4割の頭数を買い入れて入れ替える。空っぽになった豚舎を一気に満たそうとしても頭数が確保できないからだ。

 養豚業の尾鈴ミート(川南町)は早期に飼育を再開した1社。従業員の雇用を重視、昨年11月から再開した。母豚200頭を飼育中で、今年5月下旬には子も生まれる。11月下旬から出荷を始める予定だ。しかし、なお「県外から買い入れる繁殖豚の数が足りない」(遠藤太郎社長)という。

 今月13日、高級ブランド牛「尾崎牛」の生産で知られる尾崎畜産(宮崎市)が宮崎地裁に民事再生法の適用を申請した。代理人弁護士によると、負債額は14億円。口蹄疫に加え、東日本大震災を受けた消費自粛の動きが追い打ちをかけたという。地元有力企業の経営破綻に、畜産事業者の先行き不透明感は深まるばかりだ。

 宮崎県は4月を「特別防疫月間」と位置づけ、再発防止のため、農場への立ち入り検査に乗り出した。19日には宮崎市内で口蹄疫が発生したとの想定で防疫訓練も実施した。まずは防疫対策の徹底による再発防止で、畜産事業者の不安を払拭することが復興の第一歩となる。
            (宮崎支局長 稲田 成行)

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