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2010/11/05

口蹄疫・宮崎日日新聞【検証口蹄疫】第4部(1)~(2)

【連載企画】検証口蹄疫・第4部(1) 2010年11月03日

~行政は十分に機能したのか~

■ワクチン/接種時期判断に課題 全頭殺処分、疑問も

(2010年11月3日付)

 国の口蹄疫防疫指針で「まん延防止が困難な場合」の措置とされるワクチン使用を政府が決めたのは5月19日。県がワクチンを含む予防的殺処分の検討を国に求めた2週間も後だった。「もう少し決断が早ければ、被害を抑えられたのでは」。そう悔やむ地元獣医師や農家は少なくない。

 国に防疫方針の助言をしてきた、専門家による「牛豚等疾病小委員会」は4月20日の会合で、農林水産省にワクチン備蓄状況を確認した。関係者によると、5月6日にもワクチンが話題に上ったが、その後に委員会が招集されたのは18日。感染爆発期に12日間もの空白があり、ある委員は当時の赤松広隆農相の外遊に触れ「トップ不在も関係していたのでは」といぶかしむ。

 指針にはワクチンの使用に関し、時期や手法など具体的な記述はない。寺門誠致委員長代理(当事)は「ワクチンは最後の手段。早期発見と殺処分での封じ込めが望ましかった。決定時期はベストではないが、ベターだった」と強調する。

 ■ ■

 「ワクチン接種、全頭殺処分」の政府方針は、農家への補償が明示されないまま出され、地元首長らは強く反発した。当時、口蹄疫の感染疑いが確認されていなかった西都市の橋田和実市長は「頭を下げるのは農家の顔を知る市町やJA。国は明日から打たせろと言うが、機械的作業ではない」と今も憤る。

 同市はワクチン接種によって1万3800頭を殺処分。感染疑いで殺処分された家畜5千頭を大きく上回った。橋田市長は「十分な説明の時間もなかった。時期や手法、そして補償をマニュアルや法で明記しなければ同じ混乱が必ず起こる」と話す。

 ■ ■

 ワクチンを打たれた家畜には抗体ができ、感染によって抗体が生じた家畜との判別が困難になる。このため、国際獣疫事務局(OIE)では清浄国復帰への申請条件を「接種家畜の殺処分完了から3カ月後」としている。清浄国に復帰すれば2国間交渉などで、口蹄疫汚染国からの安価な畜産物の輸入を拒否できるが、復帰できなければ輸入を拒むことはできない。

 ただ、近年、OIEはワクチンを接種された動物を抗体検査し、感染していないことを証明すれば、6カ月で清浄国に復帰申請できるという条件も追加している。

 今回使用したワクチン製造元の日本法人「メリアル・ジャパン」によると、今回使ったのは、感染かワクチン接種かを抗体検査で判別できる「マーカーワクチン」。海外では、判別のための市販キットもあるという。

 山内一也東京大名誉教授(ウイルス学)は「ワクチンは発生した時点で使用し、家畜は殺さずに抗体検査で識別していけばよい。ワクチン接種は防疫上、最初の選択肢。それが世界の潮流だ」と、接種後の全頭殺処分という手法に疑問を呈する。

 農水省動物衛生課は「理論的に判別が可能なのは分かるが、マーカーの精度が分からず、市販キットは国内での検証もない。取りこぼし(判別ミス)が出る可能性もあった」と抗弁する。

 膨大な頭数の抗体検査が可能かという問題も残るが、寺門委員長代理は「いずれにせよ動物福祉の流れから、殺さずに済むワクチン技術の開発は必要だ」と重要な課題としてとらえる。

 × ×

 ワクチン接種や非常事態宣言など、第4部では代表的な対策、対応から行政が十分に機能したのかを考える。


【連載企画】検証口蹄疫・第4部(2)
2010年11月04日

~行政は十分に機能したのか~

■対策と実情/国の判断現場と乖離
(2010年11月4日付)

 国が口蹄疫ワクチンの接種とともに対策の柱として示したのが、ワクチン接種区域の外周にいる牛と豚を食肉処理し、家畜ゼロの「緩衝地帯」をつくる早期出荷対策だった。接種区域を幅10キロの帯で囲い込むイメージ。帯の中の家畜をなくし、「家畜から家畜へ」という感染の“延焼”を食い止める計画だった。
 しかし、早期出荷の対象が牛4500頭、豚3200頭だったのに対し、受け入れる「ミヤチク」都農工場(都農町)の処理能力は1日牛60頭、豚820頭にとどまった。しかも、工場で処理できない子牛や子豚の扱いを国は明示しなかった。当初から実現性が低かった対策はわずか牛90頭の出荷に終わり、何の成果も得られなかった。

 専門家でつくり、国の防疫方針に対し助言する「牛豚等疾病小委員会」の5月18日の会合。ワクチンの使用は議論されたが、ある委員は「緩衝地帯策は事務局(農林水産省)からの報告だけだった」と明かす。当時、農水副大臣だった山田正彦前農相も緩衝地帯について「赤松農相(当時)、私、担当部局の話し合いで決定した」と語る。

 県畜産課の職員は「国の強い意向もあって、異を唱える立場になかった」と吐露。ミヤチクの井手勝彦常務も「実現が難しいことは承知していたが、国の強い意向にブレーキをかけられない雰囲気もあった」と振り返る。

 ■ ■

 本当に大丈夫か―。農家や専門家の間で早期出荷による感染リスクが懸念される中、牛60頭を早期出荷した西都市の肥育農場で6月10日、感染疑いが確認された。国の疫学調査チームは、出荷に使った車両を介した感染の可能性が高いとしている。

 緩衝地帯の対象地域の家畜は、子牛や子豚を含めても約3万3千頭。飼育密度は高くはなく、爆発的な感染拡大はないと考えられており、早期出荷に疑問の声もあった。

 県央部の50代和牛肥育農家は「県は対策のメリットとデメリットを考慮して、国の机上の施策にブレーキをかけるべきだった」と検証を促す。

 ■ ■

 対策と実情との乖離(かいり)は、農場に残された大量のふん尿処理においてもみられた。国はふん尿を堆肥(たいひ)化し、その際に生じる発酵熱でウイルスを死滅させる処理を選択。ふん尿に消石灰を散布しブルーシートで一定期間封じ込めた後、空気と混ぜる「切り返し」で発酵を促進し中心温度を60度に上げるよう農家に指示した。

 しかし、実際に試みるのは初めて。60度という温度要件もニュージーランドの論文を引用したもので、実証を伴うものではなかった。

 現場ではふん尿が水分を含んでいたり、封じ込め期間に発酵が進んだりして、温度が上がらない農家が続出。「49度で6時間」という緩和要件を追加するなど混乱が続いた。川南町の30代和牛繁殖農家は「殺処分の遅かった農場ではふん尿の量が多く、重機を入れて切り返すスペースもなかった。国が言うほど一律にやれるものではなかった」と、現場から遠い場所で決められた対策に苦言を呈した。

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