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2010/11/13

口蹄疫・口蹄疫・宮崎日日新聞【検証口蹄疫】第4部(6)~(8)

【連載企画】検証口蹄疫・第4部(6) (2010年11月9日付)

〜行政は十分に機能したのか〜

■マンパワーの活用/指揮系統異なり混乱

 口蹄疫の初動防疫の要は、患畜、疑似患畜の迅速な殺処分と埋却。県や発生自治体は、重機の操作など専門技術が求められる埋却作業を建設業者に頼った。

 最も感染が広がった川南町では、以前から町と地元建設業者が災害時の協力体制を構築している。口蹄疫でも業者は町の要望に応えようと努めたが、埋却作業は難航した。現場に家畜保健衛生所や本庁関係課など所属の違う県職員が複数おり、異なる指示が飛び交ったことが原因だった。

 業者らは指揮命令系統の一本化を訴えたが、「大岩建設」の木村尚人専務(45)は「派遣されて来る県職員はすぐに交代してしまうため、要望が県に届くことはなかった」と明かす。

 都農町の建設業者は「当初は、県が手配した石灰などの資材数が間違っていたり、発注されていなかったりすることも多く、その度に作業はストップした」と現場の混乱ぶりを証言する。

■    ■

 建設業者やJA、農家などさまざまな組織、個人が入り交じった殺処分・埋却現場にあって、行政は「つなぎ役」としての役割が期待された。それは独自の指揮系統を持つ自衛隊に対しても同じだったが、作業従事者からは「自衛隊は現場で浮いた存在だった」との声が聞かれる。

 顕著に表れたのが、自衛隊と建設業者が混在した現場。業者側の現場監督を務めた木村専務は「自衛隊の指揮官に話し掛けられる雰囲気じゃなかった。独自の指揮系統で動いており、口を挟みにくかった」と、意思疎通や情報共有の不備を認める。

 このため、埋却地掘削の段取りなど、発生当初から埋却作業に携わっていた業者のノウハウを生かし切れない場面があったという。

 木村専務は「県は現地対策本部に自衛隊だけでなく、市町村レベルの建設業者も呼んでほしかった。事前に協議できれば、効率も随分変わったのではないか」と悔やむ。

■    ■

 人的資源の有効活用という点で、県は民間獣医師への協力要請には消極的だった。県獣医師会はえびの市への感染飛び火(4月28日)以降、牛や豚を扱う会員約250人の中から、殺処分の即戦力として派遣できる人員をリストアップ。県に何度も協力を申し出たが、要請はなかった。県畜産課の児玉州男課長は「早期終息すると考えていた。処分に参加した獣医師は終息後すぐには往診できず、要請を遠慮した」と理由を説明する。

 日本養豚開業獣医師協会も5月3日、豚への感染を機に獣医師の派遣を県に直談判。県はようやく地元の開業獣医師ら数名を受け入れた。

 同協会の志賀明獣医師(57)=高鍋町=らは、地元を熟知する専門家の立場から「役場入り口に消毒槽を」「ウイルス排出量が多い豚の殺処分を優先すべき」など、現場で感じた改善すべき点を県の現地対策本部に提言。しかし、5月下旬に対策本部への立ち入りを禁止されたという。志賀獣医師は「目的は一緒。民間獣医師を有効に使うべきだった」と、県の対応に今も納得できないでいる。


【連載企画】検証口蹄疫・第4部(7)
(2010年11月10日付)

〜行政は十分に機能したのか〜

■対策本部設置/「屋上屋」対応足かせ

 「町が責任を持ってもよかった」。川南町の内野宮正英町長は町内の県道封鎖が遅れたことを今も悔やむ。感染初期に、発生が集中した地域を通る県道の封鎖を県に要望したが、実現したのは3日後。内野宮町長は防疫と道路管理の担当部局が別という縦割り行政の弊害を嘆く。

 県が庁内に対策本部を設置したのは第1例(都農町)を確認した4月20日。本部長には10年前の発生時と同様に農政水産部長が就任した。しかし、翌日には続発を受けて、知事が本部長に就き、全庁的な態勢を構築した。

 だが、国との連絡や物資調達、人員手配など防疫対策の実務は農政水産部が大半を担い、忙殺された。県の対策検証委員会も「全体的な状況判断や戦略の構築が十分に機能しなかったのでは」と指摘する。

■    ■

 口蹄疫の対策本部は、発生市町、県、農林水産省それぞれに設置された。農水省の口蹄疫対策検証委員会が指摘するように「屋上屋」の形となり、役割分担や責任の所在は分かりにくく、畜産農家を混乱させた。

 県は4月22日、川南町役場に現場本部を設置。宮崎市の宮崎家畜保健衛生所(家保)から防疫資材を運ぶ手間を省くための前線基地のような役割で、国も職員を派遣した。

 同本部には、補償問題や埋却地の手配など農家から多種多様な相談が寄せられたが、立場、権限の異なる行政が同居したことによる非効率さを露呈。相談にはまず町職員が当たり、内容次第で国や県に任せるという二度手間を農家に強いることになった。

 畜産農家でつくる口蹄疫被害者協議会の吉松孝一会長は「相談しても『それは町へ』『それは県、家保へ』と転々とさせられ、どこを頼ればいいのか分からなかった。返事に何日もかかったり、担当者と連絡が取れずにその日が終わることもあった」と説明。「1例でも出れば、国が発生地に本部を置き、指揮官を常駐させてほしい」と、窓口が明確で課題解決能力を備えた組織の必要性を訴える。

■    ■

 政府は5月17日にようやく省庁横断的な対策本部を設置。県庁内にも農水副大臣を本部長とする現地対策チームを置いた。当初は約20人、最盛期の6月中旬には約40人の官僚が中央省庁から派遣された。県や市町、部局間の“壁”が取り払われ、縦横の連携が可能になった。

 5月上旬から国に現地対策本部設置を要望していたJA宮崎中央会の羽田正治会長は「防疫のスピードが加速度的に上がった」と評価。防疫面の助言を受けるため農水省職員の派遣を受けていた県畜産課も「消毒用の散水車手配も国土交通省を通じてすぐにでき、スピード感が違った」と変化を実感する。

 畜産課の児玉州男課長は「口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの海外悪性伝染病は国主導でないと対策が難しい。最初から国と県が同じテーブルで顔を合わせて協議し、対策に当たるべきだろう」と述べ、農水省との電話協議に追われていた感染初期を苦々しく振り返った。


【連載企画】検証口蹄疫・第4部(8)
(2010年11月11日付)

〜行政は十分に機能したのか〜

■政治主導/与野党議員共闘せず

 県や発生市町が口蹄疫で混乱する中、赤松広隆農相(当時)は5月10日、ようやく本県入りした。既に発生農場は50カ所を超え、感染疑いの家畜は6万頭余を数えていた。発生から20日も経過しての来県に畜産農家の不満は大きく、JA尾鈴の一部組合員が県庁前で抗議活動をする寸前までいった。

 「マスコミが(農相に)付いて回り、感染を拡大させる恐れがあった」。民主党県連代表の川村秀三郎衆院議員は来県時期について、防疫上の理由を挙げ、政権内の危機意識欠如を否定する。

 政治と危機管理について詳しい千葉科学大危機管理学部の五十嵐信彦講師(危機管理政策)は「(農林水産省の)トップが事態解決へ責任を持って対応するという明確なメッセージを与えることで、現地の士気が鼓舞され、県民に政府への信頼、安心感が生まれる」と素早い現地入りの意味を説く。

 赤松元農相が口蹄疫の発生後に来県よりも外遊を優先したことにも触れ、「政治主導を掲げる政権だけに、後事を託された官僚だけで重大な意思決定が迅速に行われたのか」と大臣不在の影響を検証するよう求める。

■    ■

 前回の口蹄疫発生(2000年)と比べ、本県選出国会議員の顔ぶれは大きく変わった。当時は農政通、畜産族の大物議員が健在だったが、今回の与党議員は“一年生”ばかりだった。

 自民党県連の中村幸一会長は「自民、民主とも本県の国会議員は一生懸命やったとは思うが、何十年のベテランとは重みが違う」と、若返りで中央に発生地の声が確実に届いたかを疑問視する。

 以前から県勢発展に与野党の本県議員が力を結集するよう訴えてきたJA宮崎中央会の羽田正治会長は「鹿児島県は陳情でも与野党の国会議員が集まって対応する」と本県との違いを述べ、口蹄疫という非常事態ですら与野党が対立したことを嘆く。「国に声を届かせる方法を模索しないといけない。(前回口蹄疫の)自民党の経験を、民主党議員を通じて国に伝えるとか方法はいくらでもあった」

 赤松元農相の来県時には県庁内で自民、民主の国会議員が小競り合いを演じた。「地域が大変なときに仲たがいし、県民感覚と離れていた」と苦言を呈する。

■    ■

 政府は具体的な補償を示さないまま口蹄疫ワクチンの接種を決定。接種区域の外周にいる家畜の早期出荷は、食肉処理施設の能力を把握しないまま方針として示された。さらに「一日1万頭を目標に殺処分を」(赤松元農相)など、発言や政治決定が県や地元市町の行政を混乱させる場面もあった。

 五十嵐講師は「今回の教訓を基に、重大な財産的損害の防止のために国がどのような態勢をつくるかが問われる」と語り、家畜伝染病予防法の改正など国会での議論に注目する。

 政治主導を掲げる政権の行く手には、法やマニュアル整備に万全を期すという、口蹄疫問題で最後の難関が残されている。
=第4部・おわり=

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