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2010/08/02

口蹄疫・宮崎日日新聞【検証口蹄疫】第1部(1)~(3)

地元宮日の連載企画  「検証口蹄疫」
まだまだ先は長そうな連載だが、とりあえずまとめて貼っておく事にした。
結構、県の対応にも容赦ない内容。
ちょっときつすぎるんじゃないかとの思いもあるが、反省すべき点は洗い出しておく事が必要。
アンダーラインは山崎

【連載企画】検証口蹄疫・第1部(1)
(2010年7月27日付)

■県と国の備え(上) 防疫の意識徹底欠く


 「国内で口蹄疫が発生する可能性は少ない」。韓国での口蹄疫発生を受け、県の担当職員は2月、そう答えた。毎年2月は、2000年に本県で発生した口蹄疫の教訓を忘れまいと県が定めた「家畜防疫強化月間」。今年の月間は、前回発生から10年を迎える節目の時期でもあった。

 アジア諸国で口蹄疫の感染が広がる中、県は1月、緊急の家畜防疫会議を開催。各市町村の関係者らに防疫の徹底などを呼び掛けた。しかし、出席した農業団体の関係者が「会議後も普段の消毒以外は行わなかった」と明かすように緊張感は伝わらなかった。肝心の農家にも情報は十分届いていなかった。10年前に家畜の移動制限区域に入った宮崎市高岡町の畜産農家(74)は「韓国で発生していることを知らなかった」と語る。

 その半面、10年前に受けた風評被害は苦い経験として県の脳裏に強く残り、その結果、優先されるべき防疫意識を鈍らせた節もある。県の担当職員は2月、本紙の取材に対し「10年前は、他県からの修学旅行がキャンセルになるなどの被害があった。報道で農家や一般消費者を刺激しないでほしい」と声を潜めた。

   ■    ■

 10年前、県内では宮崎市などの3農場が感染。しかし、牛35頭の殺処分で封じ込めに成功したことが関係者の警戒を緩めたという指摘もある。

 県は感染を想定し、検診や殺処分の方法を学ぶ防疫演習について「ここ数年はやっていない」。前回発生した本県と北海道から遠く離れた茨城県でさえ、口蹄疫に特化した演習を行っているのにだ。

 また、県は鹿児島、熊本県とともに県境防疫対策協議会を組織する。伝染病には早期の備えが必要なため、家畜から採取した検体を検査機関に送った時点で報告し合うことを申し合わせていたが、県が発生1例目を他県に知らせたのは感染疑いが確認された当日。県畜産課は「他県に影響がないと思った」と釈明するが、鹿児島県の担当者は「危機管理のための申し合わせ。何のための協議会なのか」とあきれる。

   ■    ■

 一方、国は04年、口蹄疫に関する防疫指針を策定した。指針は、少なくとも5年ごとに再検討を加えるとしている。しかし、農林水産省は「国内で口蹄疫が発生しなかった」と、5年以上も具体的な見直しを行っていない

 大阪府立大の向本雅郁准教授(獣医感染症学)は、指針が殺処分した家畜を発生地に埋却することを原則とすることに触れ、「畜産農家の大規模経営が進んでいる。大量の家畜を敷地内に埋却することは難しい。現在の形態に即していない」と指摘する。

 また、00年の発生に関して当時の農水省疫学調査チームは中国産の飼料用麦わらが感染源の可能性が高いと報告。国は輸入経路を規制するなどの防疫措置を講じた。しかし、ウイルス侵入の可能性があるとして並行して調査をしていた「国外からの旅行者」などについては、具体的な対策を打たないままだった。

 向本准教授は「国際線がある空港利用者全員を対象に国外で家畜に接触したかどうかを調べることは煩雑な作業。しかし、徹底しているニュージーランドなど諸外国に比べると、日本は防疫がかなり緩い。口蹄疫は国内発生例が少なく、国の危機意識は強くはなかっただろう」と述べる。

 ×  ×

 29万頭近い家畜が殺処分され、産業や業種を超えて本県経済に甚大な被害を与えている口蹄疫。非常事態宣言の全面解除を機に、感染拡大の背景や防疫の在り方などを検証する。第1部では、10年前に本県で発生した口蹄疫の教訓は生かされたのかを考える。


【連載企画】検証口蹄疫・第1部(2)

(2010年7月28日付)

■県と国の備え(下) 不完全なマニュアル

 2000年、本県と北海道で国内92年ぶりとなる口蹄疫が発生したが、本県3農場、北海道1農場の感染で封じ込めに成功した。専門家は「うまくいきすぎて、口蹄疫の怖さが認識されなかった。教訓を生かし、発生に備えるべきだった」と、県と国の“その後の10年”を総括する。

 今回、県は初期段階において、03年作成の「県口蹄疫防疫マニュアル」と07年作成の「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」を参考に対応した。県の担当者は1例目発生の会見で「右も左も分からなかった前回とは違い、鳥フルの経験もある」と自信をのぞかせたが、その後、感染は拡大の一途をたどった。

 畜産行政に精通し、前回の口蹄疫も経験した元県幹部は「県口蹄疫防疫マニュアルは実効性に欠ける」と指摘する。元幹部によると、マニュアルは国の防疫要領を参考にしたが、資材の調達方法や埋却地の確保策などに触れておらず、具体性に乏しいという。県は前回発生後に約300ページにわたる「口蹄疫防疫の記録」を編集したが、これに基づく改善点などは「マニュアルにほぼ反映されていない」とも語る。

 元幹部は「今後は実践可能なマニュアルに作り替え、それに基づく演習を毎年するべきだ」と強く訴える。

   ■   ■

 00年、705頭を殺処分した北海道は生乳生産量が全国の46%、肉用牛頭数が16%を占めるなど、全国一の酪農畜産王国。北海道は発生を受け、02年にコンピューターで発生地域周辺の農場やその所有者、飼育状況、制限区域などを瞬時に把握できる家畜防疫地図システムを整備した。迅速・的確な初動防疫につなげるためだ。

 また、当時の道内の平均的な養豚農場(千頭)で口蹄疫が発生したことを想定し、殺処分から埋却まで2日間の防疫作業が可能な資材を6家畜保健衛生所にそれぞれ備蓄した。各家保では毎年、口蹄疫を含めた家畜伝染病の演習訓練を市町村やJA、獣医師を対象に実施している。北海道畜産振興課は「口蹄疫被害は、決して忘れられないものとして受け継がれている」と、教訓を胸に刻む。

   ■   ■

 国際獣疫事務局(OIE)は00年6月、日本での発生を受け「東アジア地域における口蹄疫に関する緊急会議」を開き、各国の口蹄疫対策の徹底を要求。09年6月の「口蹄疫に関するOIE、FAO(国際連合食糧農業機関)国際会議」では、欧州や南米のような複数国による地域的連携が必要との最終勧告を採決した。しかし、東アジア地域でリーダーシップをとるべき日本は積極的に動かず、連携の動きは生まれなかった。

 鹿児島大農学部の岡本嘉六教授(獣医衛生学)は「国の口蹄疫に対する取り組みは10年前の勧告からほとんど進んでいない。今回の被害総額の1割でも口蹄疫対策に回していれば」と悔やむ。


【連載企画】検証口蹄疫・第1部(3)

(2010年7月29日付)

農家の対応 危機認識薄く無防備

 都農町で口蹄疫の感染疑いが初めて確認された4月20日。川南町の50代の養豚農家は「(前回発生した)10年前のように、すぐに終わるだろう」と楽観し、豚舎の消毒は行わなかった

 ここ数年、県内の養豚農家は、サーコウイルスなど口蹄疫以外の伝染病に悩まされていた。例えば、サーコウイルスは免疫力の低下を招き、肺炎や多臓器不全を引き起こして子豚のほとんどが死に、生き残った豚も発育が悪くなる。農家はワクチンを打ち、自己防衛に懸命だった。

 身近な危険への対応に追われる養豚農家にとって、口蹄疫は“遠い存在”だった。川南町で8千頭を飼育し、衛生面に注意を払ってきた60代の養豚農家も「別の伝染病には気を付けていたが、口蹄疫は考えていなかった」と吐露。「口蹄疫は牛の病気だと思っていた」と認識不足も認める

 今回は豚に感染が及んだことが、爆発的な感染の一因に挙げられている。宮崎大農学部獣医学科(獣医微生物学)の後藤義孝教授は「口蹄疫以外の豚の伝染病で、県内には深刻な被害が出ていた。口蹄疫は国内で感染例がなく、農家が恐ろしさを想像できなかった」と指摘する。

   ■     ■

 本県で口蹄疫が発生した10年前、感染が3農場だけで止まったことが、農家の警戒を緩めた側面は否めない。「獣医さんが来るときに、靴底の消毒をするぐらいだった」。川南町の50代の和牛繁殖農家の牛舎には、10年前に配布された消毒薬が使われないまま残っていた。

 同町の畜産密集地で酪農を営んでいた70代男性は、町内での1例目の発生後、自身の農場へ通じる道路に消毒ポイントが設置された。しかし、消毒ポイントを避けて脇道に入った一般車両が、農場の前を通るのを何度も目にしたという。

 男性は「もし、多くの農家がはじめから口蹄疫ウイルスの怖さを知っていれば、感染が出た最初の段階から一般車両の消毒徹底を訴え、感染拡大を防げたかもしれない」と悔しがる。

   ■     ■

 農家は情報を得る手段も十分に整っていなかった。口蹄疫発生後、行政側の情報発信の不足もあり、インターネットや電子メールを駆使し、防疫や発生農場に関する情報を集め、仲間と共有する農家がいる一方で、ファクスやパソコンを持たない高齢農家らは取り残された。

 木城町の60代の和牛肥育農家は「どこまで口蹄疫が広がっているのか、詳しい情報が入っていれば、多くの農家がもっと早く消毒を始めたのではないか」と、情報に対する不備を痛感する。

 後藤教授は「すべての農家が危機意識を共有し、高いレベルで防疫をしないと口蹄疫は防げない。発生を想定し、日ごろから情報の収集や、防疫体制の確認をする必要がある」と訴える。

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