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2010/07/30

口蹄疫・新聞各社 社説

非常事態全面解除 宮日 社説 2010年07月27日

悲劇を胸に刻み付ける日に

 口蹄疫の感染拡大に伴い発令されていた県の非常事態宣言が71日目に全面解除された。

 この日は無論、節目であることに違いはない。不要不急の外出やイベントの自粛など長い間、日常生活を犠牲にしてきた。「やっと終わった」というのが、大半の県民の偽りのない思いだろう。

 だが、決して手放しで喜ぶわけにはいかない。

 深い傷を負った畜産農家が元の姿を取り戻すには少なくとも養豚で1年、繁殖牛農家で2年はかかるといわれる。その確かな復興の日にたどり着くまで県民一人一人が見守り続けるべきだろう。

 基幹産業である畜産業の一部がウイルスによって破壊されただけで、小売り、飲食、観光などあらゆる産業に被害が波及するのを今回多くの県民が痛いほど思い知った。畜産の再建なくして、本県経済の復活はあり得ないのだ。

 この日は「終わり」ではなく「始まり」の日でもある。

■大切なのは検証作業■

 復興への一歩を踏みだす前に、まず私たちがやらなければならないことがある。それは、県内の家畜の4分の1にあたる約29万頭の牛・豚が殺処分される事態にまで陥ったのは「なぜか」と考えた上で、しっかりとした答えを出すことだ。

 感染ルートを明確にしなければ、農家は安心して経営再開できない。牛・豚の出荷を始めたとしても、再発防止策を打ち出さなければ、肉質は全国的に評価の高い本県産とはいえ、市場の信頼を完全に回復することはできないだろう。

 10年前にも口蹄疫の発生を経験した本県は、この大惨事が起きる以前にも実はこうした検証作業をする機会はあった。

 しかし、感染ルートはあいまいなままにし、その後の危機管理も十分でなかったことが明らかになりつつある。発生を事前に想定していれば、これまで度々指摘されている国・県の初動の遅れは防げていた可能性は高かったはずだ。

 二度も失敗を繰り返すわけにはいかない。そのためには国、県ともに事実を真正面から受け止めるべきだろう。双方共に責任を回避したり、押しつけ合ったりすることがないと信じたい。

 私たちが払った多くの犠牲を未来につなげるためには、この事件から教訓を導き出す以外方法はないからだ。

■心配な「記憶の風化」■

 今、最も心配なのは非常事態宣言の解除によって必ず始まるであろう「記憶の風化」である。

 平静を取り戻した街は人々の活気と笑顔をやがて取り戻すだろう。それは待ち望んだことではあるが、発生農家の悲痛な叫び声が記憶の片隅へと消えることにもなりかねない。

 悲劇を二度と起こさないためには決して忘れないことが大切だ。非常事態が解除された日を、決意を胸に刻み付ける日にしたい。


口蹄疫終息へ 再生への教訓としたい
北海道新聞 社説 (7月27日)

 約29万頭の家畜が殺処分され、戦後最大の畜産被害を出した宮崎県の口蹄(こうてい)疫問題は、ようやく終息が見えてきた。

 県内全域で家畜の移動・搬出制限が解除された。ウイルスの残るふん尿や稲わらの処理を終えた後、県は8月27日に終息宣言を出す見通しだ。

 ただ、感染源と感染経路は依然わかっていない。政府はその解明に手を尽くしてほしい。

 同時に、国も県も再発防止に向け、発生からの過程を徹底的に検証し、被害農家の再建支援に全力で取り組まねばならない。

 今回の問題でまず指摘できるのは、初動のまずさだ。最初の感染が確認された4月20日以前に疑わしい事例が報告されている。県はその時点で入念に検査すべきだった。

 宮崎県と十勝管内本別町で口蹄疫が発生した10年前、感染拡大は食い止められた。この経験が、かえって見通しを甘くし、油断につながったのではないか。

 発生後3週間以上もたってから、県保有の種牛を特例で避難させたことも禍根を残した。

 民間の種牛所有者が同じ扱いを求めて殺処分を拒否した。県の種牛を速やかに隔離していれば、無用な混乱は避けられたはずだ。

 乳牛をはじめ優秀な種牛は道内にも多い。あらかじめ避難先を選定しリスク分散に努めるべきだ。

 処分した家畜の埋却地を農家に求めている家畜伝染病予防法にも無理があった。経営が大規模化した現在、爆発的な感染が起きると、個々の農家が対応するのは困難だ。

 5月末に成立した特別措置法で、埋却地は国と自治体が用意し、処分した家畜も国が全額補償することになった。ただ、あくまで特例であり、家畜伝染病予防法を抜本的に見直す必要がある。

 道内などでも、農家の飼育頭数を詳細に把握し、事前に埋却地を検討しておくことが大切だ。

 今回、宮崎県は牛と豚の20%強を失い、損失額は少なくとも800億円と見積もられている。

 再び出荷できるようになるまでに、肉牛の繁殖農家で約3年かかり、その間は収入がなくなる。

 経営再建資金の無利子融資、生活資金の補助など、きめ細かく長期的な支援が欠かせない。手塩にかけた家畜の殺処分に打撃を受けた生産者には精神的なケアも必要だろう。

 九州は、口蹄疫が発生している韓国や中国との交流が活発だ。中国の観光客誘致に力を入れる北海道にとっても、対岸の火事ではない。

 今回の感染拡大から引き出すべき教訓は多い。


口蹄疫終息へ 再発防止に教訓を生かそう
(7月28日付・読売社説)

 宮崎県を揺るがした家畜伝染病、口蹄疫の感染被害が、発生から3か月で、ようやく終息に向かうことになった。

 県はすべての家畜の移動制限を外し、非常事態宣言も解除した。県内で飼育していた牛や豚の約2割に相当する29万頭を殺処分するという多大な犠牲を払い、ひとまず危機を脱した。

 初動のまずさや制度の不備などが次々と露呈した3か月間でもあった。国と自治体は、こうした教訓を生かし、畜産の実態に即した防疫体制を構築すべきである。

 感染拡大の要因は、まず初期対応が不十分だったことだ。県は口蹄疫の症状を見逃し、最初の事例を発表した時点で、すでに10農場以上に感染が広がっていた。その後も検査や消毒を徹底しなかったことが最後までたたった。

 口蹄疫が発生した際、即座に人員や資材を大量に投入できるような体制の整備が急務である。

 60年前に制定された家畜伝染病予防法が、大規模な畜産経営が主流となった現状にそぐわないという問題も浮き彫りになった。

 例えば、家畜の殺処分と埋却を農家に義務付けているが、大規模な養豚農家が埋却地を確保できず、殺処分が遅れた。ウイルス放出量が牛の1000倍に達する豚の埋却に手間取ることは、口蹄疫対策では致命的である。

 こうした問題に対処するには、飼育する頭数などに応じ、自治体が埋却の候補地を事前に決めておくことが必要ではないか。

 国の権限を強化することも重要だろう。口蹄疫は県境を越えて発生する可能性が高く、国全体で危機管理すべき対象だからだ。

 だが、現行法では殺処分の命令など重要な権限は都道府県にある。自治体は地元の利益を優先しがちで、国益を考えた防疫体制が機能しなくなる危険性がある。

 今回、種牛の殺処分を求めた国に対し、県が特例的な延命を主張して混乱を招いた。こうした事態を繰り返してはならない。

 感染が終息しても、被害農家の経営再建はこれからだ。殺処分で家畜がいなくなった農家は数年間、大幅な収入減を余儀なくされる。心身ともに打撃を受け、畜産から撤退する農家もある。精神面での支援も必要だろう。

 菅首相は27日の口蹄疫対策本部会合で「農家が再び安心して畜産を営める支援が重要だ」と強調した。殺処分を柱とする防疫制度を講じていくうえでも、農家が協力しやすくなるような家畜の補償や経営支援の充実が求められる。

(2010年7月28日01時18分 読売新聞)

宮崎・口蹄疫 復興に弾みをつけるには 2010年7月28日 10:52 カテゴリー:コラム > 社説

 宮崎県に、もはや家畜伝染病の口(こう)蹄(てい)疫(えき)に感染したと疑われる牛や豚はいない。3カ月以上にわたった口蹄疫との闘いの決着がようやく見えてきたのだ。

 宮崎県は、感染拡大阻止のために出した「非常事態宣言」を解除した。

 今月5日、宮崎市の農場で感染の疑いがある牛が見つかったのを最後に、新たな事例が3週間発生しなかったため、ただ一つ残った宮崎市の家畜移動・搬出制限区域を解いたことを受けた措置だ。

 ここまでの生産者や獣医師、国や自治体の職員、自衛隊員など多くの関係者による懸命の努力には敬意を表したい。

 だが、「なぜ、もっと早く沈静化できなかったか」。率直に言って誰もがこんな思いを抱いているのではないか。

 県民の中に疑念、わだかまりがあれば、それは解消しておく必要がある。それには「何ができ、何ができなかったか」など徹底的な検証が行われるべきだ。

 つめ跡はあまりに大きい。国や県、県民が足並みをそろえて復興を進めるためにも、けじめをつける必要がある。

 4月20日に感染の疑いがある牛が確認されて以降、川南町を中心に約29万頭の牛や豚が殺処分された。県内で飼育されていた牛や豚の4分の1近くで、失われた家畜の価値は県内畜産業の年産出額の約15%、283億円との試算もある。

 感染は瞬く間に広がった。5月18日、県民に消毒の徹底を求め、不要不急の外出やイベント開催などを控えてもらう非常事態宣言が出された。既に発生が疑われた農場は120カ所を超えていた。

 この後もなかなか感染をくい止められなかった。一方、非常事態宣言は地域経済全体を冷え込ませることにもなった。

 結婚披露宴が延期や中止された。地域の祭りも旅館・ホテルの宴会や宿泊も、と影響は徐々に広がっていった。

 財務省で今月開かれた全国財務局長会議でも、宮崎県だけが4月に比べ経済情勢が悪化したと「下方修正」された。

 とりあえず地域経済のテコ入れ策が急務だ。しかし、地域の復興・再生には中長期の視点もいる。東国原英夫知事が言う「新たな畜産王国」構想もそうだ。

 10年前、宮崎県と北海道で92年ぶりとなる口蹄疫が発生した。そして、今回も宮崎県で起きた。農林水産省の調査チームは3月中旬には口蹄疫ウイルスが宮崎県内に流入していたことを確認した。

 中国、韓国、台湾で発生しており、日本は包囲されたかたちだった。だが、なぜ、今回も宮崎だったのだろうか。

 被害が拡大したのは10年前と違い牛から豚に広がったことがある。1戸当たりの飼養頭数が増え、大規模化していたことも大きい。殺処分、埋却となっても、その用地が確保されていなかった。

 農家だけの責任ではない。国や県も規模拡大を勧めていた。一方、この10年間で対策はどこまで進んでいたのか。教訓は多いはずだ。それを生かし、全国に範となる畜産王国の復活を期待したい。


=2010/07/28付 西日本新聞朝刊=


口蹄疫の制限解除/危機管理の再構築急げ
掲載日:2010-7-28 14:38:00 日本農業新聞 論説

 宮崎県の口蹄(こうてい)疫問題で、県は27日、移動・搬出制限区域をすべて解除した。非常事態宣言も全面解除し、3カ月余りに及んだウイルスとの闘いは、大きな節目を越えた。8月27日には終息宣言が予定され、大打撃を受けた宮崎県の畜産農家の経営再建や地域全体の復興へと動きだす。農家や地域の再建・復興に向けた取り組みへの継続的な支援とともに、これまでの反省点、課題を総括した上で家畜疾病に対する危機管理体制の再構築に国を挙げて取り組むべきだ。

 今回の口蹄疫の発生は5市6町に広がり、県内にいた家畜のほぼ4分の1に当たる約28万9000頭もが殺処分された。家族同然の家畜を失い、悲しみと将来への不安を抱えながら、畜産農家は経営再建へ踏み出そうとしている。関係機関が一体になって畜産農家の経営と生活をしっかりと支え、再建への足取りを確かなものにしていかなければならない。

 畜産は経営が軌道に乗るまでに、肉牛や酪農経営で3~5年、養豚経営で1年以上の長い期間が必要になる。肉用牛繁殖経営では、貴重な繁殖基盤を失った畜産農家も数多い。経営を再建するには血統の良い繁殖雌牛を導入し、子牛を出荷するまでに2年以上の間、収入がない一方で、飼料代などの経費が掛かる。この間の経営に必要な資金や雇用安定、生活対策などに、国や県は万全の対応をすべきである。

 移動・搬出制限が解除され、畜産物の出荷も徐々に本格化してくる中で、風評被害対策にも万全を期す必要がある。流通業者や外食などの実需者、消費者に正しい知識を伝え、宮崎の畜産を国民みんなで支え合う機運をつくり、復興を後押ししていくことも重要だ。また、宮崎ブランドを再構築するための遺伝資源の確保、育成に向けた支援も不可欠になる。

 口蹄疫の影響で地域全体の経済も大きな打撃を受けた。財務省が26日に示した景気判断では、宮崎県だけが下方修正されており、畜産関連産業だけでなく、地域の商工観光業など産業全体の復興に向けた対策の強化が急務といえる。

 口蹄疫は近年、中国や台湾、韓国などアジア諸国・地域で確認されている。国内のどこでも発生する可能性があり、各都道府県や産地はウイルスの侵入を前提に防疫対応指針を整備する必要がある。

 特に、今回口蹄疫の感染が拡大した原因の一つとして、農水省の口蹄疫疫学調査チームは、感染疑いのある牛を初確認した4月20日以前に、既にウイルスが10戸以上の農家に侵入していた可能性に言及した。初動が遅れた今回の教訓をもとに危機管理態勢を再構築し、地域を挙げた早期の発見、通報、殺処分、埋却といった防疫態勢の整備が、家畜疾病に強い産地づくりに求められている。


口蹄疫終息 復興の支援息長く
7月28日(水)  信濃毎日新聞 社説

 口蹄(こうてい)疫を封じ込めるため、宮崎県内に設けられていた家畜の移動搬出制限区域が解除された。発生から3カ月余を経て、ようやく流行が終息した。

 宮崎ブランドを支える種牛を含め殺処分された牛と豚は29万頭近く。畜産王国は飼育頭数の4分の1を失った。打撃は深い。

 この事態を繰り返さぬよう、対策を根本から練り直さなくてはいけない。一連の経過を検証し、教訓を学ぶことが重要だ。

 被害がここまで広がった第一の原因は、初動の遅れにある。危機管理に甘さがあった。

 農場で初期の症状が見過ごされた可能性がある。県は連絡を受けながら、検査に回すのが遅れた。埋却用地の不足で殺処分に手間取ったことが、感染爆発の引き金となった。

 疑わしい例は即、通報する。迅速に判定して感染拡大を防ぐ仕組みを、全国に整える。犠牲を最小限にとどめるための鉄則である。

 家畜伝染病予防法の問題点も浮き彫りになった。現行法では都道府県が対策を主導する。当初、国の動きは鈍かった。

 県と国の責任があいまいで、種牛の殺処分をめぐり対立する場面もあった。対策が後手に回った一因だ。種牛をめぐり東国原英夫知事が重ねた「特例」は妥当だったのか。これも検証が要る。

 口蹄疫はアジアで流行を繰り返している。日本で再び発生しても不思議はない。種牛の分散飼育、殺処分を想定した埋却用地の確保など、関係する自治体は「次」に備える必要がある。

 宮崎県の口蹄疫対策は、畜産の復興へ軸足が移る。その道のりは平たんではない。空っぽの畜舎に牛や豚が戻り、再び出荷できるまでには年単位の時間がかかる。

 商工業や観光業も打撃を受け、一部に風評被害が出ている。国の支援策が欠かせない。農家の生活再建、地域経済の再生など、きめ細かな目配りが要る。

 復興を全国から広く応援したい。社団法人全国旅行業協会は、各地から観光客を宮崎県に積極的に送る取り組みを進める。

 長野県内にもさまざまな取り組みがある。小布施町振興公社は、交流している宮崎県都農町を支援するため、都農町産の畜産加工品の販売キャンペーンを始めている。佐久市の岩村田高校生徒会は文化祭で義援金を募った。

 ひとりでもできることがある。たとえば同じようなものなら、宮崎産を意識して買う。ささやかな消費者の意思表示である。


口蹄疫終息へ/「痛み」を教訓にしなければ
   河北新報社

 畜産王国・宮崎を大きく揺るがした口蹄(こうてい)疫に、ようやく「終息」の二文字が見えてきた。
 今月4日の宮崎市を最後に新たな感染がないことから、宮崎県はきのう県内全域で家畜の移動・搬出制限を解除。ウイルス残留の恐れがあるふん尿を処理した後の来月27日に終息宣言を出す見通しとなった。
 約29万頭もの牛や豚が殺処分された。戦後最大の家畜被害である。「再生」に向け国と県には被害農家の再建支援に全力を挙げて取り組んでもらいたい。
 同時に、感染の拡大がもたらしたこれほどの犠牲と農家の「痛み」を、再発防止の教訓としなければなるまい。
 口蹄疫は東アジアで流行しており、海外からウイルスが侵入した可能性が高いと考えられている。宮崎に限らず全国どこで発生しても不思議はないのだ。
 水際でいかにウイルスの侵入を防ぐか。侵入を許した場合、感染拡大を防ぐため、どう対処するか。国の危機管理が問われているのはもちろん、畜産振興に力を入れる東北の各県にも万が一の備えが求められている。

 感染源と感染経路は依然として不明だ。政府は発生からの経過をつぶさに検証し解明を急ぐべきだ。併せて、なぜ感染拡大を防げなかったのか、国と県の対応を洗い直す必要がある。
 まず初動対応のまずさがある。最初の感染が分かった4月20日以前に、後に感染が判明する疑わしい事例が通報されている。これを県が見逃した。国と連携し疑わしいケースでも遺伝子検査を含め速やかな判断ができるような態勢づくりが必要だ。
 優秀な牛を絶やさないため、種牛を迅速に隔離する必要性も浮き彫りになった。ブランド牛を抱える東北各県は、平時でも種牛や精液を分散しておくことを含め危険分散を図りたい。

 見逃せないのは、処分家畜の埋却地の不足である。土地が確保できないため、発生ペースに処分と埋却が追いつかず、ウイルスを発散させ続けて感染拡大に拍車をかけたからだ。
 家畜伝染病予防法は埋却地の確保を農家に求める。だが経営が大規模化した今、農家が対応するのには無理がある。5月に成立した特別措置法は国と自治体にその確保を求めている。
 各県は農家の飼育頭数を把握し、事前に埋却地をリストアップしておくことが大切だ。消毒地点の設置や通行制限を含む有事の訓練も実施しておきたい。
 もっとも家畜の処分・埋却には土地とともに獣医師や自衛隊員ら人員の確保が必要だ。感染が複数県に及ぶ事態も考えられる。国主導による対策の強化が不可欠で、1951年に施行され対策の主体を県とする予防法は、特別措置法の内容も組み込んで抜本的に改正するべきだ。

 宮崎県で畜産農家が再び出荷できるようになるには、肉牛の繁殖農家で2年以上かかる。経営と生活の再建に向け、行政によるきめ細かで長期的な支援が欠かせない。手塩にかけた家畜を一挙に失った生産者に精神的なケアも要る。国と県には、打撃を受けた地域経済の復興にも十分な目配りを求めたい。

2010年07月28日水曜日


社説:口蹄疫「終息」へ 宮崎で得た教訓生かせ
   秋田魁新報

 宮崎牛ブランドを支える種牛を含め約29万頭の牛や豚が殺処分されるなど、戦後最大の畜産被害となった宮崎県の口蹄(こうてい)疫がひとまず終息を迎えた。4月の発生確認から3カ月余りで、ようやく家畜の移動・搬出制限が全面解除されたのである。

 最終的な終息宣言は発生農場のふん尿処理の完了を待って出されることになるが、これまで目に見えないウイルスとの長い長い闘いを強いられてきた畜産農家ら、関係者たちの労をまずは心からねぎらいたい。

 打撃を受けた地域経済が一日も早く立ち直ってほしいと願うが、風評被害もあり、安心・安全の信頼を取り戻すには相当な時間がかかりそうだ。国による畜産農家への補償や経営支援は不可欠であり、その意味では衆院農林水産委員会が28日、閉会中審査を実施して口蹄疫問題を取り上げたことは評価したい。

 復興支援とともに、今後国を挙げて取り組むべきは、再発への備えに万全を尽くすことである。宮崎で払った犠牲を決して無駄にしてはならない。

 中国など東アジアでは依然として口蹄疫の発生が相次いでいる。国内のどこかでいつ発生してもおかしくはない状況にある。宮崎での感染ルート解明、急速な拡大を防げなかった要因の分析などの検証作業を通じ、防疫体制を整えることが肝要だ。

 「初動の重要性」は宮崎が残した最も大事な教訓だ。感染が急速に拡大してしまったのは、一部地域で家畜の殺処分に手間取るなどの封じ込め失敗による。当初は消毒ポイントも機能しない上、補償金が決まらないために殺処分や埋却を渋る農家が続出。一時は7万頭近くが放置されたまま、ウイルスをまき散らしたとされる。

 国と県の責任の所在があいまいだったことも初動の遅れにつながった。山田正彦農相が、国の権限を強化するために家畜伝染病予防法の改正案を来年の通常国会に提出する考えを明らかにしたが、国が危機管理体制に責任を持つとの意思表示であり、歓迎したい。感染経路を調べるために、農場などを強制調査できるようにすることも検討中だというが、防疫体制の整備には欠かせない措置だろう。

 新たな発生に備えて、都道府県が速やかに殺処分などの防疫措置を取れるように特別チームを編成したのも初動の強化を狙ってのことだ。これに合わせて自治体側も、消毒地点の設定や通行制限の決定など、日ごろから訓練を積み重ねていくことも大事だ。家畜の運搬や殺処分に使う重機や埋設用地の確保、種牛の分散管理なども検討すべき課題である。

 ただしいくら法整備や体制づくりが進んでも、感染防止策などの基礎知識が欠落していては防疫は難しい。渡航先からウイルスを持ち帰る恐れもある。行政や農家のみならず、国民全体で危機意識を共有することが最大の防疫体制となるはずだ。

(2010/07/29 09:35 更新)


口蹄疫が終息へ―教訓生かし次への備えを
7/29付 朝日新聞社説

 家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)が猛威をふるっていた宮崎県で、家畜の移動制限がやっと解除された。最初に報告されてから3カ月余りかかって、ようやく流行は終息にこぎつけた。

 この間、感染の広がりを抑えるため殺処分された牛や豚は約29万頭にのぼる。県内で飼育されている数の約2割にあたり、畜産農家は心理的にも経済的にも、大きな犠牲を払った。

 日本の食を支える畜産農家の再生を支援していくとともに、今回の教訓をしっかりと受け止めて、今後の対策に生かすようにしたい。

 前回、2000年の発生時は宮崎県と北海道で牛740頭が殺処分された。今回はウイルスを広げやすい豚に感染したこともあって、比べものにならない規模になった。日本で多くの人々が初めて目の当たりにした口蹄疫ウイルスのこわさである。

 これからも、いつなんどき日本のどこかに、ウイルスが入り込まないとは限らない。

 発生後の対応をめぐっては、いくつもの問題が浮かび上がった。

 まず、発見の遅れがある。4月20日に1例目が確認されたが、感染は3月に始まり、この時点ではすでに十数戸の農家に広がっていたことが後でわかった。気づかぬまま、感染をさらに広げていたことになる。

 症状だけでは判断が難しい場合も多い。簡便になった遺伝子検査を活用して、いち早く感染を見つけられる態勢を整えることが欠かせないだろう。

 また、感染がわかったら、ただちに殺処分して埋却することが重要だが、埋却場所が不足していたことなどから、処分が大きく遅れた。

 家畜伝染病予防法によれば、埋却地の確保は各農家の責任になっている。この法律ができた60年前に比べると、農家の規模ははるかに大きくなり、とりわけ養豚農家の場合は土地にほとんど余裕がない。埋却が滞りなく進んだ自治体は感染を早期に抑え込んだことをみれば、自治体で準備しておくことも必要ではないか。

 一方、大型の家畜を扱える獣医師の不足も浮かび上がった。今回、多くの獣医師らが全国から応援にかけつけた。ただちに現地に派遣できる専門家チームを用意しておいたり、長期的には獣医師の養成を進めたりすることも大切である。こうしたことは政府が責任をもって進めるべきだ。

 法律上、家畜の伝染病対策は都道府県の責任だが、県を越えて広がる事態を想定すれば、司令塔としての政府の役割もますます重要だ。

 感染症対策は何よりスピードが求められる。これは、人でも家畜の場合でも同じだ。すばやく対策がとれるよう、都道府県と国の役割分担や連携の仕方を再確認しておく必要がある。

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コメント

他県に飛び火することなく、節目を迎えたこと、現場の方々の努力に感謝してます。m(u_u)m
なぜ、宮崎で発生したか、明らかになるのは難しそうですね。
口蹄疫発生の可能性は、どこにでもありますから、再開に際して、充分な支援を受けられことが、畜産家の不安を払底するため、不可欠だとおもいます。
日頃からの、防疫に対する、意識をたかめることも、必要と思います。都農町の取組がどのようなものになるか期待してます。
発生の際の初期対応が、重要でありますが、強制的処分が認可されることにより、安易な殺処分が、行われないことを願っています。

繁殖・さん

終息宣言はまだですが、節目を迎えることができました。
本当に、宮崎から出さずに済んだ事が嬉しくてなりません。

捜査権を持たない疫学調査メンバーでの聞き取りでは、うやむやにされてしまう事が多いようです。
A牧場にしても感染源にしても明言は避けられています。
ホント、なんで宮崎なんだって・・・・・。

今回の事で、口蹄疫の恐ろしさは宮崎に限らず、全国の畜産業者の胸に刻み込まれたと思います。日々の消毒、衛生管理、いざという時の訓練などなど。
決して宮崎の轍を踏まないように、国主導での防疫体制を敷いて欲しいです。

発生時に速やかに抑え込むための殺処分は、やはり必要だと思います。
けれど、今回のワクチン接種による殺処分は、本当にやりきれなかったです。
今後、むやみにワクチン接種などが行われない様にするための対策を望みます。

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